What is "RESET!" ? WHAT IS ? CONTENTS EP CONTENTS MAKING PROCESS NEW RECORDING STYLE

『RESET!』 ※ジャケットデザイン:奥井弘“空想三部作”で見事にリスナーを煙に巻いた洛東UNDERGROUND。彼らは次に何処に向かうのか? ついにその答が登場した。“リーマンショック、金融不安、円高、雇用不安、挙げ句の果てに大震災に原発事故... こんな世の中どないもならん! リセットしてやり直しじゃー!”という明確なテーマのもとに制作されたのはその名も『RESET!』。

しかしこの実体は明らかにロック・アルバムである。突き詰めれば豊富な想像力で演奏されるギターと着実にリズムをキープし続けるベースを中心とした作品集だ。ただし洛東UNDERGROUNDは一筋縄でいかない。同じロックでも“ブリティッシュ”と“アメリカン”を平然と横断し、“和風”“プログレ”“R&B/カントリー”“レゲエ”など様々な分野の音を同じディスクに収めてみせる。

従来サポートメンバーとして作品集の制作に協力してきたベーシスト・上南雅博が今作よりついに正式メンバーとして加入、ますます充実した演奏を聴かせてくれる。またここしばらく洛東UNDERGROUNDのジャケットデザインを手掛けてきたデザイナー奥井弘がまたしても壮大なデザインを創作、作品集の完成に華を添えている。


シングル『バッテリー・アウト』を収録したEP「ロッキンRUG」

また今作から録音方法に変化があったようで打ち込みで収録されるエコーの掛かり方やドラムスの音などが劇的に変化している。その延長線上のお遊びか、同時リリースのシングル「バッテリー・アウト」は「ロッキンRUG」と題されたEP盤の形態で発売され、過去の作品からロックテイストの濃い4曲をリミックス?して収録している。

すでに何食わぬ顔でさらなる新作の制作に乗り出しているという洛東UNDERGROUND(今作の企画段階でその先の企画も決まっていたという噂である)。しかしまずは魂の一撃にも似た作品集『RESET!』を心ゆくまでお楽しみいただきたいと思う。






Contents Of "RESET!" WHAT IS ? CONTENTS EP CONTENTS MAKING PROCESS NEW RECORDING STYLE

まずは収録曲、簡単な曲目紹介を行う。尚、今作については基本的なパーソナルは一定しているのでそれを以下に示し、各曲のところでは流動的な部分のみを紹介する。

A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Keyboards / Rhythm Programming

1.揺れる空 Rolling Sky (Words By T.Yamaguti / Music By M.Johnan)
M.Morioka .... Vocal

作曲者の上南の指向性を反映したブリティッシュ・ハード/プログレッブ・ロックとも言える重い曲。そもそも東日本大震災をテーマに据えている以上重くならざるをえない。だが終盤「あゝ人生に涙あり」を彷彿とさせる三連の激しい演奏は決して終焉を意味している訳ではない。この曲は“復興の時”を願う力強い応援歌である。森岡の情感溢れるボーカルと橋本の鋭角的なギターソロが好対照。そんな中さりげなく流れる森岡のアコースティック・ギターの音にほろりとさせられる。尚、「あゝ人生に涙あり」はTVドラマ「水戸黄門」のテーマ曲である。

2.来る日も来る日もワーカーズ Workers Over Days  (Words By T.Yamaguti and A.Hashimoto / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal

彼らがしばしば取り上げるワーカーズ系列の作品。今回は9日間に渡るハードな出張を描いているが、バラードから始まりダイナミックに展開していく演奏はブリティッシュともアメリカンともつかない、どちらかというと中期U2あたりの演奏に見られるようなヨーロッパ的な香りがするように思う。付属のライナーノーツで橋本自身が指摘するように中間部の上南のベースラインは確かに特徴的だが、他の楽器も含め全体がバランス良く溶け合っている印象がある。

3.瞳をとじて Close Your Eyes  (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal

ブリティッシュ・ハードロックの形態を持つ作品。オジー・オズボーンあたりの作品に見られるようなオープニングから80〜90年代のギタリストが良く演奏する同じフレーズの高速弾きを再現してみせるギターソロなど演奏そのものからはまさにその雰囲気が漂う。だがどういう訳かプラスチックな印象が残る作品である。様々なジャンルの音楽を擬似的に再現する山口ならではか? また導入部のギターのバッキングについて山口は橋本がソロを弾くことを想定して適当に入れたが結果としてソロは入らず粗だけ見えて終わってしまったと述べている。ちょっと恥ずかしい話である。

4.I WANNA BE YOUR LOVER I Wanna Be Your Lover  (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal

橋本のオリジナルでこれもまたブリティッシュともアメリカンとも識別できない独特のロックとなっている。本人の弁を借りると“歌謡曲の影響が大きい”ということで、森岡の少しこぶしが回るようなボーカルがフィットしているのをみてもB'zあたりの和製ロックに近いものがあるのではないだろうか。しかし中間部のスローから徐々に激しくなっていくギターソロは橋本ならではの演奏でありファンは特にチェックしていただきたい。またソロのバックでは正規メンバーに迎えられた上南が印象深いベースのメロディを弾いているがいかにもリッケンバッカーらしい音である。

5.ロンサム・セイラー Lonesome Sailor  (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal

華奢で細身の英国人は絶対演奏しない曲である。太い腕、髭もじゃの馬力ありそうな男達から叩き出されそうな典型的なアメリカンロックでありRUGの変わり身の早さに驚かされる。曲自体はどうこう言うほどのものではないが最近さらに腕を上げてきた橋本のスライドギターも変幻自在。またブリティッシュロックとは異なりアメリカンロックの系列はコーラスの取り方でも随分印象が変わるがここではRUGならではのコーラスワークも楽しめる。

6.ゴーン・ウエスト Gone Waist  (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal

カントリーっぽい、もしくはR&B的な演奏でまとめられたロックンロール。雰囲気的にはローリング・ストーンズあたりに通じるものがあり英国的でもありアメリカ的でもある、というロックである。しかし橋本のライナーノーツのコメントを待つまでもなくこれはメンバーの誰か(それが誰かは不明である。一部では複数のメンバーが該当、という噂も)が腰を痛め悲惨な状況に陥った、ということを歌う実話ソングで、呪文のように繰り返されるタイトルの連呼が耳に残る。上南のベースが小気味よく、特に終盤ベースのランニングが引き金になり橋本のギターが爆発する。内容とは裏腹に楽しい気分を呼び起こす一曲。

7.スノーウィ Snowy  (Words and Music By M.Morioka and T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Harp (Solo)

雪が降ってる!どないなっとんねん! ... という無茶苦茶な内容の歌。しかしそれもそのはず1978年頃、場所は雪降る堅田、森岡と山口が若気の至りの中で書いた作品である。曲調としてはずばり70年代の終盤から80年代前半にかけて大活躍したロックトリオ、ポリスの影響が強いレゲエとパンクの香りがするロックである。ここでは森岡の意表をつくハープと終盤に登場するプログレッシブな展開の中で彼が歌う“ヨーヨーヨー”が印象深い。

8.エビ・パンチ! Lobster Punch  (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal

これはいわゆるパンク・ロックである。そもそも歌詞の内容からしてパンクである(敢えて詳細はここでは述べないが簡単に言うとある伝統芸能界に属する人物が高級飲み屋で殴られて大騒ぎになった事件が題材...)。最初から最後までワンテンポで一気に突っ走る。しかしその実は印象的なテーマリフ、何やら怪しいことを歌っている繰り返しのコーラス、マイナーなコード進行を巧みに取り入れたメロディアスなギターソロなど、さすがベテランバンドのRUGらしい仕上がりである。

9.バッテリー・アウト Ba-Ba-Ba Battery Out !  (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal

ブリティッシュ・ロックである。この曲も大変アンサンブルが良い。ドスの利いたボーカルを聴かせる森岡、タイトなリズムをキープする上南のベースも素晴らしいが、多重録音による橋本のギターソロが特に聴き応えのある仕上がりとなっている。曲の方はある日車で旅行に出掛けた男(橋本)が港町で立ち往生しJAFにSOSを依頼... という実話ソング。

10.なるようにしかならない We Can't Change It Will Be  (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal
T.Yamaguti .... Vocal

うまくいかない仕事に対して最後はなるようにしかならへんにゃと言ってしまう、そんな投げやりなイメージを与える作品。しかしそれは間違いで“なるようにしかならへんのやから、前を向いて気楽に行こう!”というメッセージが込められており、それが終曲として選ばれた大きな理由であろう。曲自体は山口と森岡がダブルボーカルで迫るなど作品集全体の中でも非常にポップだが、元々は“ザ・フーの演奏に乗ってジョン・レノンがダラーッと歌う”イメージであったらしい。RUGは果たして次に何処へ向かうのか? 再び原点であるポップソングに回帰するのか? いろいろと深読みを呼び起こすラスト・ナンバーでもある。

 Let's Play Tracks Of Album ...



EP "Rockin' RUG featuring Ba-Ba-Ba Battery out !" WHAT IS ? CONTENTS EP CONTENTS MAKING PROCESS NEW RECORDING STYLE

作品集「RESET!」リリースと同時に、EP「ロッキンRUG」がリリースされた。以降にこちらの簡単な紹介も。

1.バッテリー・アウト Ba-Ba-Ba Battery Out !  (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
アルバム収録バージョンからドラム・セットを入れ替え、ボーカルにも新たなエフェクトを追加したシングル・バージョンだが他は全く一緒である。尚、ドラム・セット云々については録音方法の変化に伴うものであり後述を参照のこと。

2.結局薬局放送局 After All, Chemist's Shop, On Broadcasts  (Words and Music By T.Yamaguti
以降4曲はいずれも過去に発表された作品だが、それらの音源を新しいスタイルでリメイクしたものがここに収録されている。これは作品集「ミート・ザ・リザルト!」に収録されていた作品。オリジナルでは一度演奏がブレイクし再び始まる演出になっていたがドラムスのない状態で橋本のギターから始まる。

3.踊ろよベイビー Dance Dance Dance With Baby  (Words By Y.Goto and T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto
作品集「私淑の人」収録の作品。この曲もオリジナルではダンス・パーティの場面で登場する関係でダンスバンドのボーカルに扮する森岡のMCなどが入るが、ここではいきなり2本のギターでスタート。

4.カモン・エブリバディ C'mon Everybody  (Words and Music By A.Hashimoto
作品集「30周年記念編集盤」に収録された作品。基本的な形態はオリジナルと全く同じだが、ドラム・セットの入替に伴って強烈なスネアの音がオリジナルとは異なるノリを生み出しているようにも思う。

5.ヘヴィメタル Heavy Metal  (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
作品集「バック・トゥ・ザ・プレイス」に収録された作品。この曲においても基本的な形態はオリジナルと同じだが、ベースの音が協調されていたり(この曲のみ上南は不参加でベースは打ち込み)、終盤登場のああ〜という森岡の合いの手が冒頭にも挿入されているなど細かい違いがある。

6.バッテリー・アウト(リプライズ) Ba-Ba-Ba Battery Out ! (Reprise)  (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
特にコメントのしようがないバージョン。とにかく聴いていただければ幸いである。

Making Process Of "RESET!" WHAT IS ? CONTENTS EP CONTENTS MAKING PROCESS NEW RECORDING STYLE

様々なアクシデントもあり当初の予定を遥かにオーバーしてようやく完成した新作『RESET!』誕生の軌跡について。

2008/9/15
2007年のサブプライムローン問題が発端となった米国住宅バブル崩壊、様々な資産価格の暴落によりこの日アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻。事態は世界的な金融危機へ発展していった。

2011/01/03
日本のフォーク/ポップスを歌う、という前作が無事完成した勢いをかって新年会の席上次期新作のコンセプトが打ち合わされる。“リーマンショック以来仕事の方はさっぱりや!”(この時点では上南は無職であった...)と気炎を上げたメンバー達によりハードロックを中心とした作品集に!ということが決定された。

2011/02/11
“決起大会”と称した飲み会が開催されRUG3名+ベーシスト上南が参加。3月上旬に“新曲発表大会”を、3月中旬には上南の新曲をゲットして作品に仕上げる、という計画?が決定された。

2011/03/11
東日本大震災が発生。同時に発生した津波で多くの死者、行方不明者が出た上に福島では原子力発電所でメルトダウンが発生、多くの人達が故郷を追われる。

2011/03/12
大震災の翌日、新作のための新曲発表大会が開かれた(参加者はRUG3名+ベーシスト上南)。またこの日正式に次期作品集のタイトルを『RESET!』とすることに決定。

2011/04/05
橋本が“私が新たにテレビを購入する、と言う話題ですが、テレビ自体はすでに購入し終わっております。その時のキャンペーンみたいなもので、フレッツ光の同時加入が非常に得なような仕組みになっていたもので、この際と思い加入する事に致しました。でその工事が9日に執り行われる、と言った事です”というメールを最後に電子的に行方不明になってしまい、譜割の連絡などに支障が発生。

2011/04/24
橋本の電子的行方不明状態がようやく解消された。事態収拾に関わったとされる山口によると“末代まで語り伝えられる珍事”とのことである。

2011/05/03
この日“新緑の会”と称する野外たこ焼きパーティ?が開催された。メンバーは例のよってRUG3名+ベーシスト上南。この席上で『RESET!』収録曲が確定された。(噂の上南の新曲はまだ発表されていなかったが)曲数も10曲に決定。

2011/05/07
山口が上南邸に出向きついに新曲をゲット(後に東日本大震災を扱った歌詞が用意され「揺れる空」となる)、ついに収録曲が出揃った。

2011/06/11
準備期間を経てついに第一回の録音に漕ぎ着ける。この日は森岡、山口のボーカル隊がボーカルとギターのバッキングを録音した。「I WANNA BE YOUR LOVER」「ゴーン・ウエスト」「エビ・パンチ!」「バッテリー・アウト」の一次録音を終了。

2011/07/17
一次録音から大方1ヶ月、祇園祭の山鉾巡行の日を狙った訳でもないだろうが橋本、上南の演奏隊が二次録音を実施。「エビ・パンチ!」「バッテリー・アウト」がコーラス録音待ちとなる。いつになくスローペースではあったが“曲数は10曲やし”と多少余裕をかますメンバー達。だが...

2011/08/04
この日橋本から泣きが入る。7月後半に夫人が倒れ“主夫”業を強いられた彼は身動きが取れないという。一方とうに他の曲のボーカルも片付けておくべし、の森岡であったがこちらも副業勤務先が相当なB会社であり身動きがとれないどころか連絡も十分にとれない始末。とにかく橋本の状態が正常化するまで活動を凍結することに決定...。

2011/10/09
ようやく録音活動が再開される。橋本と上南の演奏隊により「I WANNA BE YOUR LOVER」「ゴーン・ウエスト」、また新たに「ロンサム・セイラー」の録音が完了となる。しかしこのペースでは年内完成は困難ではないか?という声が出始めたのも事実であった...。

2011/11/05
再び橋本と上南の演奏隊により「来る日も来る日もワーカーズ」「瞳をとじて」が特音された。前回の「ロンサム・セイラー」も含めこれらは山口ボーカル曲のためとりあえず森岡抜きで山口が単独録音を行い演奏隊の録音に備えたものである。尚、依然として森岡の多忙は解消せず彼のパートの録音は全く進んでいない。

2011/12/17
結局残っている森岡ボーカル曲も暫定的に山口がボーカルを入れ、それに合わせて橋本・上南の演奏隊が録音を敢行。かくして残っていた「揺れる空」「スノーウィ」「なるよにしかならない」を全てクリア、演奏隊の全パートは完了となった。

2011/12/18
ついに森岡が登場、残っている録音を片付けるべく奮闘する。しかし残念ながら「揺れる空」のボーカル、「スノーウィ」のハープは積み残しとなり『RESET!』の完成も越年決定となってしまった。

2012/02/12
年が明けすでに1ヶ月以上経過したこの日、橋本、森岡、山口が集まり『RESET!』の仕上げにかかる。特にコーラスはかなり手抜きというかいい加減な録音で従来に比べると品質の低下は避けられない状況であったが、結果が全て!とばかりの勢い任せの録音であった(一部では“バナナの叩き売り”もビックリの“投げ売り”だった、という証言も)。結果として10曲を片付けるのに8ヶ月を要した訳だが、いずれにしてもこれで無事『RESET!』は発表と相成った。様々な苦労があった故に感動もひとしおである。ぜひゆっくり愛聴いただければ幸いである。

About New Recording Style Of "RESET!" WHAT IS ? CONTENTS EP CONTENTS MAKING PROCESS NEW RECORDING STYLE

ここでは『RESET!』から採用された新しい録音方法について述べる。

MTRの更新
2004年の「ミート・ザ・リザルト!」よりデジタル仕様のマルチ・トラック・レコーダー(MTR)が投入されRUGの録音作業を支えて来た。しかし2011年になってこの装置が不調を来す。“もう年数も経っているし、記録媒体がコンパクトフラッシュなんて流行らんし(しかも容量の大きな媒体は使えない)”と後継機の導入を図った。後に初代機の不調はACアダプタによるものと判明したが、これも潮時ということで『RESET!』においては初代機と二代目機の併用で作業を進めたのである。

MTR→PCへ
従来はPC上の音楽ソフトで作成されたデータでMIDI音源を鳴らしMTRに録音、それにボーカル、ギター、ベースなどのRUGの音を重ねていく録音方法をとっていた。この方法での難点はトラック数の制限。8トラックしかないためどこかで録音した音をまとめ(バウンス)なければならない。ただしまとまってしまった音は個別に音量などを設定できない。『RESET!』ではMTRを使って録音していく点では一緒だが、録音が終わったらPCを使ってその音源を抜き出しPC上のDAWソフト(デジタル・オーディオ・ワークステーションの略。従来の音楽ソフトをさらにPC寄りに進化させたもの)のトラックに取り込むことにした。これでトラック数の問題は解消、音の編集も自由自在となった。

ミキシングもPCで...
従来ミキシングという作業もMTR上で手動で行っていた。だが新しい方法においてはDAWソフト上でミキシング、ダイレクトにWAV形式ファイルをエクスポートする。尚、もちろんDAW上にはドラムスやキーボードなどのMIDIデータもある訳だが、ダイレクトにエクスポートするためにMIDI音源ではなくいわゆるVSTiと呼ばれるソフトシンセにより音を出す。

コーラスもマルチトラック録音
結果的にはボーカル、ギター、ベースまでは初代機のMTRで録音、その段階で一度WAV形式ファイルをエクスポート、それを二代目機に読み込んだ上でコーラスを録音... という流れで作業を進めた。ここでも従来ネックであった問題のひとつが解消した。それは録音できるチャンネルの数。初代機では同時に2チャンネルしか録音できないので3人のコーラスを別々のトラックに記録できなかった。二代目機は一度に4本のマイクが接続できて4チャンネル同時録音が可能となった。

ただし...
しかし良いことばかりではない。今までは限界がある分諦めもついたが、新しい録音方式では可能性は無限に近い。そうなると今度は人間がついていけない。もはやセンスの問題になる訳だ。ということでさらなる創意工夫が今後も求められるのは間違いない...。

ご拝読、ありがとう。では中身の方もお楽しみ下さい。