What is "Upsouth Mountain Mouse Blues Band" ? WHAT IS ? START LINE CONTENTS SINGLE MAKING - RECORDINGS CHOICE SONGS FROM GREAT BLUES

『アップサウス・マウンテンマウス・ブルース・バンド』実在の小説をテーマにして作成された空想オリジナル・サウンドトラック「私淑の人」が爆発的セールスを記録してから約1年。収録曲がWEB音楽コンテストにノミネートされるなどその余波が未だに感じられる。一部ではあれを超えることは出来ない、という声さえ聞かれる状況の中で次の作品集を制作することは大きなプレッシャーであったに違いない。だがそんなことはもはや百戦錬磨となりつつある洛東UNDERGROUNDにとって大したことではなかったのか? 年一作のペースを普通に守ってリリースされたのは『アップサウス・マウンテンマウス・ブルース・バンド』。

彼らがこの新作で選んだテーマはズバリ、ブルース。従来作でも影に日向に協力してくれていた盟友のベーシスト、上南雅博をほぼフル参加で迎え、楽曲、演奏とも徹底してブルースで攻める。前作でファンになった人達には実に気の毒だが、ほらほら来た来た、やっぱり見事に予想を裏切ってくれないと!という往年のわがままなファン感涙のフェイント作でもある。

三度デザイナー・奥井弘が手掛けた、作品制作中に敢行された横須賀ツアーで撮影されたマテリアルを使ったジャケット他のスリーブデザインもブルースの雰囲気を湛え魅力的。さらにライター後藤雄二が手掛けた小説仕立てのライナーノーツまで用意されている。そして何よりも本来のロックに大きく回帰しつつもここまで蓄積してきたRUGテイストが随所に垣間見えるユニークな作品集に仕上がっている。

シングル『右往左往(シングルバージョン)』

以上、奇しくも公式記録上通算10作目(復帰後7作目)の作品集。洛東UNDERGROUNDの『アップサウス・マウンテンマウス・ブルース・バンド』... 大いにお楽しみいただきたいと思う。











Start Line Of "Upsouth Mountain Mouse Blues Band" WHAT IS ? START LINE CONTENTS SINGLE MAKING - RECORDINGS CHOICE SONGS FROM GREAT BLUES

そもそも作品集『アップサウス・マウンテンマウス・ブルース・バンド』とはどういうところから誕生したのだろうか? 「私淑の人」の次の作品集を企画・検討する中で暗に申し合わされた3つのポイントを挙げる。

(1) 活動再開後何かと協力してもらっている上南氏に感謝の気持ちを込めて全面参加してもらうとしたら何を演るべきか?

(2) サブプライムローン問題を発端とした世界同時不況をはじめとしてロクでもない世の中を憂うとしたら何を演るべきか?

(3) 最高傑作といっても過言ではない前作だが同じようなものを作ってもしょうがない(というか作れない...)、へそ曲がり精神を発揮して
  方向転換をするとしたら何を演るべきか?

前作「私淑の人」は作家・後藤雄二とデザイナー・奥井弘を大きくフューチャーした作品だったとも言える。よって次は復帰後何かと協力してくれているベーシスト・上南雅博にもスポットを当たってもらおう、というのが(1)の主旨であったようである。上南と言えば無類のブルース好きで知られる。折しも世の中は急激にやってきた経済危機の打撃を受けていた。そして何より彼ら自身「私淑の人」を簡単に超えることは出来ない、と感じていたのであろう。極上ポップワールドから一気にブルースに舵を切った理由は上記3点に集約されると思う。次に彼らはこれを出発点として次のコンセプトを掲げた。

■次期新作は“ブルース”がテーマということに決定。題して“RUGブルース化計画”。何故か5人編成?の架空のブルースバンド、
  Upsouth Mountain Mouse Blues Band によるブルース・アルバムという体裁を借りつてダイナミックにブルースに没頭してみたい...

さてその5人編成は次のような構成となっている...。

・M.Upsouth .... Bass バンドを率いるベーシスト。Mは Marcy のM。堅実ながらワイルドな演奏が持ち味
・A.H.Michael .... Electric and Acoustic Guitar 主席ギタリストで愛機はフライングV。ボトルネックの使い手でもある
・B.H.Michael .... Electric Guitar 第二ギタリスト。愛機はオリジナルモデルやセミアコ等。オブリガートが持ち味
・M.M.King .... Vocal, Harp, Kazoo, Acoustic Guitar B・Bを師と仰ぐ主席ボーカリスト。だがコーラスにも命を燃やす
・T.Mountainmouse .... Vocal, Keyboard 通称山ねずみ(意味不明)

何とも適当な雰囲気が漂うが中身については結構真面目にいろいろな機軸を考えていたようである。

(1) 盟友のミスター・ベースマン上南が全面参加!
(2) エレキギターは橋本による一人二役!
(3) もちろん森岡入魂のブルースハープも登場!
(4) ライブ感溢れる録音方法を検討!

結果として出来上がった音を聴けばこの4点は密接に関係がある。おまけのナンバーを除いた中心的ナンバーには全て上南のドライブ感あふれるベースがフューチャーされる。それを生かすべく“ライブ感溢れる録音方法”は必然であった。また“5人編成”の真相は橋本が一人二役でギターを弾くことであった。そのようなことから通常はバッキング → ソロ → ボーカル → コーラスと録っていくのを止めて、ボーカル → コーラス → ベース&ギター → もう一本のギターという順番で録音したらしい。ボーカルが入って出来る限りライブな雰囲気でベースとギターに乗ってもらおう、という配慮である。新しい試みでもあったので4月25日に“テスト録音”と称して新しいパターンが試された。結果は上々だったためそのテイクは本番採用(?)、その勢いを維持して以降の録音が実施されていったのだった...。

Contents Of "Upsouth Mountain Mouse Blues Band" WHAT IS ? START LINE CONTENTS SINGLE MAKING - RECORDINGS CHOICE SONGS FROM GREAT BLUES

収録曲、パーソナル、簡単な曲目紹介は次のとおり。

1.昔のブルースを歌うのは大変 It's So Hard To Sing Old Blues (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Rhythm Programming
M.Johnan .... Bass

オープニングは山口が書いた典型的なR&Bバラッド。上南が弾くどっしりしたベースに導かれて森岡のさりげない、しかし心温まるボーカル、そしてノスタルジックなコーラスが入る。橋本が一人二役でソロを弾く場面も注目である。残念ながら曲自体は“ビートルズの「オー・ダーリン」の不正コピー”と言われているが、魔性の女に首ったけになってしまった男の嘆き、という内容はブルースならではのテーマである。

2.右往左往(パート1) Go This Way And That - Part 1 (Words and Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Organ / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

今回の作品集のために橋本が新たに書き下ろしたハードなナンバー。世界的な不況により大企業すらも右往左往する様が歌われる。今回2つのバージョンが収録されたがこちらは山口が一本調子で一気に歌うハイテンポなバージョン。ドライブ感溢れる上南のベースと激しく踏み倒されるワウが利いた橋本のギターが強烈。尚、コーラスは本来考案を担当すべき森岡が珍しく“考えとらん”と言ったため山口が考案したソウルフルなスタイルを採用。また橋本はこの曲のバッキングを録音した際“指が飛ぶかと思った”と述懐している。

3.空からミサイルが降ってくるブルース Missiles' Falling Down Blues (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Organ / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

橋本が“これぞブルースである”と評した典型的なブルースナンバー。山口の手によるもので全く同じフレーズが9回繰り返されるが二台のギター、オルガンが絡むソロ部分などは非常に軽快である。ちなみにこの曲、元々湾岸戦争の頃(1991年)に書かれたものだが2009年、歌詞のみ全面改定されている(どちらの歌詞もお馴染みのどうしようもない著名人達が登場するのは変わらない)。また非常に個性的なコーラスは森岡の考案によるもの。

4.夜通し飲むな…のブルース Don't Drink Overnight... Blues (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto and T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Piano / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

“これがブルース?ハードロックではないのか?”“いやヘヴィメタルです”という冗談がメンバーの間で飛び交ったという強烈なナンバーで、橋本が毎年新年早々に体験する新年挨拶の得意先回りにまつわる厳しい状況が歌われる。“飲む”というキーワードはどういう訳か上南を連想するが、彼自身かなりこの曲を気にいっていてブラック・サバスか?と思わすようなヘヴィなベースを聴かせてくれる。また森岡が考案したコーラスは実は飲み過ぎて気分が悪い状態を表しているというもっぱらの噂である。

5.痛いブルース The Pain Blues (Words and Music By M.Morioka)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar / Harp
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Acoustic Guitar (Bottle Neck) / Electric Gutiar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Rhythm Programming
M.Johnan .... Bass

このプロジェクトがスタート後、ブルースを研究した森岡は“ブルースの師”としてB・B・キングを指名した。この曲はそんな森岡が偉大なるB・Bのイメージを念頭に置いて書いたとされる。しかし全体のトーンはアコースティックでありカントリーの雰囲気すら漂うあたりは森岡ならでは。途中さらにレベルアップしたハープも挿入され感動的。また終盤には橋本が渋いボトルネックをアコースティックギターで決めてくれる。しかし歌の中身は実に痛々しく堅田サウンドの新たな境地として注目を浴びた。

6.水路に咲き誇る桜のブルース Water Route Cherry Blossom Blues (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Harp
A.Hashimoto .... Acoustic Guitar (Bottle Neck)
T.Yamaguti .... Acoustic Guitar

この曲と「だらだらと終わらないブルース」は“ちょろちょろっと演るブルース”と題しておまけ的に録音されたもの。上南は参加しておらず、公式には“洛東UNDERGROUND featuring M.M.King”とクレジットされる。短い演奏時間の中でB・Bを師と仰ぐ森岡がその雰囲気を強く滲ませたボーカルが秀逸である。

7.キツいブルースを一発 I Want Hard Blues (Words and Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Organ / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

この曲も今回の作品集のために橋本が新たに書き下ろしたナンバー。この企画を盛り上げるため?“特選ブルース”と称して魅力的な既製のブルースナンバーが定期的にバンド内で配信されていたが、橋本がその中のオールマン・ブラザース・バンド「フーチー・クーチー・マン」に強い感銘を受けたのが誕生のきっかけらしい。ちょっとボーカルが弱いもののメロディは印象的で、森岡考案のコーラスも非常に凝っており、さらに象徴的なリフを中心にギターが利いたブギー調の作品に仕上がっている。

8.右往左往(パート2) Go This Way And That - Part 2 (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Organ / Rhythm Programming
M.Johnan .... Bass

世界的な不況により大企業すらも右往左往する様が歌われる作品の第二バージョンは森岡がサザン・ソウル風のアクの強いボーカルを聴かせる少しスロウなバージョン。こちらは指が飛んでいきそうな激しいギターのストロークはなく、代わりに粘着質の単音メロディが全体を支配。尚、コーラスは元々パート1と同じだったらしいがミキシング上一部をカットして雰囲気を揃えている。

9.ロクでもないブルースのメドレーT Good-For-Nothing Blues Medley I (All Songs : Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Organ / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Harp / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

いずれも山口が2009年になって書いたという「庶民による白い暴動のブルース」とインストの「歯が折れたブルース」の二曲で構成されたメドレー。本作中唯一ピックを使った上南のベースプレイがソリッドである。また橋本の貴重なアームを使った演奏を聴くことができる。スリリングなソロ、味わい深いメロディと森岡のハープも二箇所で挿入されるなど曲の出来とは裏腹に充実した演奏を楽しむことができる。

10.やたらと明るいブルース Too Much Lighted Blues (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Organ / Rhythm Programming
M.Johnan .... Bass

2009年になって橋本が新たに書き下ろした作品だが、ブルースというテーマにはそぐわない軽快なロックンロール・ナンバーである。だが曲名とは裏腹に“早朝会議、無謀な予算、意味のない出張...”と自虐的な言葉がならぶ歌詞はブルースそのもの。開き直ったような演奏の中では相変わらず一定ペースを崩さない上南のベースが光る。尚、原題は当初“Indiscrimately Light Blues”だったが発音しにくい!という理由で現在のものに変更されたという。

11.面影の空に Look Up To The Sky His Smile Flows (Words By Y.Goto and T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Strings / Rhythm Programming
M.Johnan .... Bass

ネットで公開されたライター後藤雄二の小説を題材にして書かれた歌詞に橋本が素晴らしいメロディを乗せている。全体のトーンは上南がこよなく愛するシン・リジィの「それでも君を」を彷彿とさせるブルージーなバラード。今作ではアドリブを主体としたソロを多く弾いている橋本だが、この曲については緻密で計算された一人ハモリやエンディングにむかうソロを弾いており、従来のRUGのスタイルが最も強く感じられる一曲になっている。また森岡のボーカルも素晴らしく本作中最も良くできた作品と言っても過言ではないだろう。

12.だらだらと終わらないブルース Dragging On And Neverending Blues (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Harp
A.Hashimoto .... Acoustic Guitar (Bottle Neck)
T.Yamaguti .... Acoustic Guitar

「水路に咲き誇る桜のブルース」とこの曲は“ちょろちょろっと演るブルース”と題しておまけ的に録音されたもの。意図的にモノラルでミックスダウンされており、さらに古いレコードに聴かれるプチプチというノイズも入る。どうやらアップサウス・マウンテンマウス・ブルース・バンドのライブ演奏の合間の休憩時間に流される昔のレコード、という演出らしい。

13.ロクでもないブルースのメドレーU Good-For-Nothing Blues Medley II (All Songs : Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Harp / Acoustic Guitar
T.Yamaguti .... Vocal / Organ / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Johnan .... Bass

山口がかなり以前に書き貯めていた「税金はゴメンだよブルース」「頭痛になったことあんのかい」「地震がドアをノックするブルース」の3曲がメドレーになっている(「税金」に至っては消費税が導入された1989年に書かれている)。まさに文字通り“ロクでもない”作品だが、上南のランニングベースに乗って森岡がプレスリーの如く歌い回す中盤、またおどろおどろした雰囲気の中で森岡が激しく吹く終盤のハープ、あまりコードの変化がない中で悪戦苦闘する橋本のソロなどチェックポイントの多い作品であることは間違いない。

14.アップサウスと山ねずみのブルース Upsouth And Mountain Mouse Blues (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Piano / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Kazoo / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass
H.Okui .... Backing Vocal
Y.Goto .... Backing Vocal

実質のタイトルトラックとなる作品。中盤では5人のバンドメンバーがそれぞれソロをとる場面があり拍手や手拍子も挿入される。まさにライブのハイライトに演奏されるイメージである。中でもガンガン弾きまくる橋本は当然として、今作の影の主役と言える上南の渋いベースソロ、森岡がパワー全開で演奏してみせる?カズーのソロは特に強いインパクトがある。またコーラスには橋本、森岡に加えて奥井弘、後藤雄二も参加しており大変重厚。尚、この歌は実話を交えた上南と山口の友情の歌だと言われている。

15.世界を巡るワーカーズ Workers Around The World (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Rhythm Programming
M.Johnan .... Bass
Y.Goto .... Clarinet

最後を飾るのは橋本と山口が2006年に共作した作品。タイトルどおりワーカーズ系列の作品だが、この世界を巡る主人公は上南を指すものと思われる。ここではギターのソロはなく(橋本は渋いアコースティックギターのボトルネックを入れている)後藤雄二のクラリネットがフューチャーされている(作品集に同梱された後藤作の“小説仕立てのライナーノーツ”はこの終曲からの連想があったのか?)。また終盤ダブルボーカルで渋い構成を聴かせるなど森岡の活躍も見逃せない。いずれにしても最後は少し明るい日差しを感じさせて終わる当たり優れた構成の作品集だと言える。

 Let's Play Tracks Of Album ...



Single Release With "Upsouth Mountain Mouse Blues Band" WHAT IS ? START LINE CONTENTS SINGLE MAKING - RECORDINGS CHOICE SONGS FROM GREAT BLUES

以下は作品集『アップサウス・マウンテンマウス・ブルース・バンド』と同時にリリースされたシングル盤収録曲目である。

1.右往左往(シングル・バージョン)  Go This Way And That - Part 1 (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Organ / Rhythm Programming
M.Johnan .... Bass

作品集にはパート1、パート2と二つのバージョンが収録されているが、こちらはパート2をベースにしつつも 1.森岡の声にエフェクトがかけられている 2.ギターソロが微妙に異なる 3.コーラスはパート1に準拠した形になっている という具合に第三のバージョンという仕上がりである。既製の音源を流用しつつ新たな音源を再構成するのは近年のRUGの得意技と言える。

2.奴らは町へ The Boys Are Back In Town (Words and Music By P.Lynott)
T.Yamaguti .... Vocal / Organ / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

今回のプロジェクトがスタートした時からテーマに上がっていたのがこのカバー。ベースで全面参加してくれることになった上南へのお返し?に上南のフェイバリット・バンド、シン・リジィのこの曲を演ろうということになっていた。しかし実際には個性のかたまりのようなボーカル、どのように演奏しているのかよく分からないギターのハモリなど悪戦苦闘の連続。結局最後の録音日に完成したという力作。当然のごとくオリジナルを越えることなど不可能!というある種の開き直りのもとRUGらしさ満開のところがポイントか?

3.水路に咲き誇る桜のブルース Water Route Cherry Blossom Blues (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Harp
A.Hashimoto .... Acoustic Guitar (Bottle Neck)
T.Yamaguti .... Acoustic Guitar

この曲と「だらだらと終わらないブルース」は作品集にはモノラルで編集されたものが収録されているが、ここではステレオバージョンとなっている。また作品集の方はフェイドアウトするがこちらは演奏の最後まで収録されている。

4.だらだらと終わらないブルース Dragging On And Neverending Blues (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Harp
A.Hashimoto .... Acoustic Guitar (Bottle Neck)
T.Yamaguti .... Acoustic Guitar

「水路に咲き誇る桜のブルース」で述べたとおりステレオかつフルバージョン。いずれにしても非常にライブセッション的な仕上がりである。だが機会があればフル・バンドでの演奏も聴いてみたいものである。

5.コンドルは飛んでゆく El Condor Pasa (Music By D.A.Robles and J.Michberg)
Y.Goto .... Clarinet
T.Yamaguti .... Acoustic Guitar / Percussion

超ボーナストラックである。作品集においても好サポートを見せる後藤雄二がサイモン&ガーファンクルで有名なこの曲をクラリネットのソロで聴かせる。最後に拍手が入ったりしていることから恐らく隠し芸的ノリで突発的に録音されたものに違いないが貴重な記録としてチェックしておきたい。

Making Of "Upsouth Moutain Mouse Blues Band" - Recordings WHAT IS ? START LINE CONTENTS SINGLE MAKING - RECORDINGS CHOICE SONGS FROM GREAT BLUES

今回はベーシスト上南雅博の全面参加を受けライブ感溢れる録音を目指した関係上、録音順序自体が変更されている。また全員集合、一曲完結という従来スタイルを敢えて改め、RUG三名で構成される“ボーカル/コーラス隊”、上南と橋本で構成される“演奏隊”の二班が時には合体、時には分散して行うという変則的なスケジュールで録音が遂行された。以下に同時進行で発生したその他の出来事も合わせて完成までの流れを追う。

■2009/01/01
恒例の年始の挨拶を橋本が行う。

2009年の目標ともいえるミッションですが、これまたすでに掲げられており、何と「ブルース元年!」であります。“こんなわけの分からん世の中はドロドロのブルースで乗り切るんじゃい!!”と非常に威勢よく旗が上がりました。(中略)「商売は牛のよだれの如し、粘っこく...」なる言葉もありますが、我がRUGは「ドロドロのブルースで粘っこく行くでー!」であります。今年一年今までに増して素晴らしい年となりますように宜しくお願い致します。

■2009/01/04
山口が過去から現時点まで書きためたブルース的作品のデモを一挙公開。タイトルだけは決まっていたが歌詞がなくラララで歌われた「庶民による白い暴動のブルース」他、最終的に「ロクでもないブルースのメドレーT」「ロクでもないブルースのメドレーU」としてまとめられた5曲はまだばらばらで発表された。また中にはあの名曲「スカイ・ブルー」のブルース・バージョンも含まれていた。

■2009/01/24
ついに橋本が始動。強烈な印象を残す「右往左往」、再び後藤雄二の小説を題材に山口が歌詞を書いた畢生のバラード「面影の空に」の新曲2曲に加え、実話シリーズの新古曲「夜通し飲むな…のブルース」の計3曲を発表。またこの頃から関係者宛に「RUGブルース化計画便り」と称するメルマガ?が発信されはじめる。第一回の記事は“ブルースとは?”。また目玉企画の“特選ブルース”配信第一号はビートルズの「ヤー・ブルース」であった。

■2009/02/07
当初より“一人二役”を言い渡されていたはずなのに理解していなかったのか、忘れたフリをしていたのか、のらりくらりとぼけていた橋本だったが、それに備えて?知り合いから新しいギター入手した。Photogenic という廉価モデルだが、橋本自身は仲間達に“これで座って弾けるっちゅうもんです [祝]”とメールを発信...。

■2009/03/14
RUG3人が集まりビールを呷りながら決起集会を実施。基本的な活動方針を決定。また橋本がさらなる新曲「やたらと明るいブルース」「キツいブルースを一発」の2曲を発表。特に後者は“特選ブルース”で紹介されたオールマン・ブラザーズ・バンドの「フーチー・クーチー・マン」に刺激を受けて一気に書き上げたという逸品。

■2009/03/24
今度は橋本、山口が今回のスペシャルゲストである上南雅博を迎えての打ち合わせを開催。用意された下音を確認しながら(もちろんアルコールも供給しながら?)全体像をイメージしていく作業。

■2009/04/25
ついに第一回録音を実施。この日はRUG3名+上南というフルメンバーが参加した。尚、新しい録音方法を試すということもあり“テスト録音”と銘打って実行された。曲目は「キツいブルースを一発」「空からミサイルが降ってくるブルース」の2曲。先にボーカル、コーラスが録音され遅れて登場した演奏隊がハードな演奏を展開。最終的には非常に満足いく仕上がりだったので2テイクとも本番採用することになる。尚、橋本はこの日の録音では新たに入手した Photogenic を弾いていた。

■2009/05/30-31
この二日間、昨年より企画されていたらしい横須賀ツアーが敢行される。元は横須賀在住のライター後藤雄二をRUGの3名、上南、奥井弘の5名が訪ねるという企画だが奇しくも新作のテーマがブルースということもあり、たちまち横須賀の町のあちこちでフォトセッションが展開されることになる。また Photogenic に満足できない橋本はこの頃さらに新しいギター WASHBURN を入手。

■2009/06/08
デザイナー奥井弘から早くもジャケット・デザインが複数パターン関係者に配信された。この時点では3パターンで合計4バージョン。奥井曰く全部で4枚送ります。順番に(A/B-1/B-2/C)とします。(A) は戦艦「三笠」です。(B-1/B-2) は「どぶ板通り」のお店(たぶん、マップを見ると[GEORGE'S])です。(C) は「T.G.I. FRIDAY'S」です。どれも「ブルース」「横須賀」をキーワードとしたつもりなんですが、どうかな???”... 尚、この後も関係者の希望や意見に沿って新たなバージョンが順次追加されていくことになる。

■2009/06/13
第二回録音が実施される。この日も前回につづいて全員参加、「右往左往」(パート1&2)をメインに「痛いブルース」のボーカル&コーラスまでをクリア。尚、この日の激しいギターは WASHBURN が使用された。またこの後の6/17、森岡が目の手術のため入院する。

■2009/07/04
この日はRUG3人だけの録音が予定されていたがさらに橋本が所用で脱落、森岡・山口のみの参加で「昔のブルースを歌うのは大変」「夜通し飲むな…のブルース」「ロクでもないブルースのメドレーT」「やたらと明るいブルース」「アップサウスと山ねずみのブルース」「世界を巡るワーカーズ」の6曲でボーカル&アコースティック録音完了、また「ロクでもないブルースのメドレーT」「痛いブルース」の2曲でハープ録音完了、さらに“ちょろちょろっと演るブルース”2曲のバッキング(「水路に咲き誇る桜のブルース」「だらだらと終わらないブルース」。森岡ハープ&山口アコースティック)も録音完了。

■2009/07/18
この日は通称演奏隊(上南&橋本)の録音作業を実施。「痛いブルース」が完成に至った他、「昔のブルースを歌うのは大変」「夜通し飲むな…のブルース」「ロクでもないブルースのメドレーT」のベースと2本のギターが完成となる。尚、この日は録音の後“ビアホールの会”が実施される。

■2009/07/25
この日は上南がOFFでRUG3人参加によるコーラス録音大会。「昔のブルースを歌うのは大変」「夜通し飲むな…のブルース」「ロクでもないブルースのメドレーT」「やたらと明るいブルース」「世界を巡るワーカーズ」、さらにちょろちょろ2曲(「水路に咲き誇る桜のブルース」「だらだらと終わらないブルース」)、「面影の空に」アコースティック、「アップサウスと山ねずみのブルース」カズーソロまで片付ける。尚、この頃から EO Music Try 2009 の話題が多くなってくるが、8/5 にはついに堂々のノミネートが明らかになる!

■2009/08/15
恒例行事“お盆の会”を前に後藤、奥井というゲスト2名を交えた録音が実施される。「アップサウスと山ねずみのブルース」は森岡、橋本が加わってのコーラス録音、「世界を巡るワーカーズ」では後藤のクラリネット・ソロを収録。またこの時に後藤が余興で吹いた「コンドルは飛んでゆく」の演奏がシングル盤にカップリングされることになる。尚、“お盆の会”はびわ湖にてミシガン・クルージング。

■2009/09/12
森岡は休みで演奏隊の録音。「やたらと明るいブルース」「アップサウスと山ねずみのブルース」「世界を巡るワーカーズ」の3曲が新たに完成。また EO Music Try 2009 のコンテストは出足好調でメンバー達も機嫌が良い。

■2009/09/23
この日はまたしても橋本が参加できない状況で森岡&山口による録音実施。「面影の空に」「ロクでもないブルースのメドレーU」「奴らが町へ」のボーカル、アコースティックのバッキング、ハープが収録される。尚、当初は順調であった EO Music Try 2009 のコンテストだが順位が発表されてからジリ貧傾向に陥っている。

■2009/09/26
RUG3人による録音を実施。この日でボーカル/コーラス・パートの録音が全て完了する計画である。「面影の空に」「ロクでもないブルースのメドレーU」「奴らは町へ」を計画どおりクリア。さらに「アップサウスと山ねずみのブルース」の聴衆の拍手も録音。これで森岡はお役ご免となる。尚、この日正式にジャケット・デザインが決定され、デザイナー奥井弘に最終の微調整が依頼された。また締め切りを二日後に控えた EO Music Try 2009 についてはほとんど終戦モードであった(最終的にはカテゴリーアワード全体で9位、グレートミドル部門内では4位という成績に終わる。それでも大躍進ではあるが...)。

■2009/10/24
演奏隊の録音。上南が突然新しいベース・ギターを披露しびっくりさせる。そんな上南の新しいベースと橋本のギターで「ロクでもないブルースのメドレーU」が完成、「面影の空に」「奴らは町へ」においても上南によるベースのパート完了、もう一本のギターを残すのみとなる。尚、この日風邪気味だと言っていた山口は翌日病院でインフルエンザと診断される。

■2009/11/07
いよいよ最終録音。満を持して橋本だけが録音に挑む。「奴らは町へ」「面影の空に」の順番で録音が進められる。橋本はいつものようになんだかんだ言いながらも素晴らしい演奏を連発、見事フィニッシュを飾ってみせた。また録音の後打ち合わせが行われ11/22に“紅葉の会兼モニター会”の開催が決定。

■2009/11/14
当初11月中には新作の完成はないものとされていた。なぜなら“小説仕立てのライナーノーツ”という無理難題を依頼されたライター後藤雄二が“11月一杯ぐらいで完成”とコメントしていたため。しかしこの日突然後藤からメールが届く。曰く“ライナーノーツを含めた小説が出来上がりました。この一週間、推敲を重ねましたが、ぐずぐずするのもいけませんので、本日お届けいたしました”... 尚、受信者の山口はたまたま一泊二日で旅行に行っていたためこのライナー?の正式な受理日は11//15である。またこの際、後藤は“ストーリー上、CDの話題に触れていませんので、曲名の紹介程度のことしかできませんでしたが、いただいた音源を毎夜聴いて書き続けました”とも書き添えている。尚、小説のタイトルは「あこがれのクラリネット」。自身の体験を下敷きにした味わい深い物語の中にしっかり作品紹介が挿入されている、という優れた小説/ライナーノーツに仕上がっている。

■2009/11/22
この日メンバー3人が集まりCD制作作業を実施。ようやく新作は具体的な形をとった。一般向けには11月29日のリリースに決定。尚、この日は恒例行事のひとつ“紅葉の会”も実施され、メンバー達は疏水で紅葉狩りをした後橋本邸に押し掛け鍋、さらに新作モニター会を実施したとのこと。

Choice Songs From Great Blues ! WHAT IS ? START LINE CONTENTS SINGLE MAKING - RECORDINGS CHOICE SONGS FROM GREAT BLUES
特別企画CD“Choice Songs From Great Blues”今回のブルース作品集、冷静に考えるとブルースに精通しているのは上南のみ、という事実が発覚した。かくして“ブルースとは何ぞや?”もしくは“RUGがやるブルースとはどういうものか?”を各自が共有できるよう“特選ブルース”と称してこれと思われるブルース・ナンバーを順番に配信する企画がスタート。そして最終選択された14曲のブルース・ナンバーがコンピレーションされたCDが作品集と同時リリースされた。以下に収録曲と選者による簡単なコメント等を掲載する。

1.ヤー・ブルース Yer Blues ビートルズ Beatles (Words and Music By J.Lennon and P.McCartney)

当時英国ではブルース・ロック・ブームが巻き起こっていたが、その様子を見ていたジョン・レノンがそれを茶化して書いた曲だとか...。つまりこれこそRUGの“似非ブルース”に通じる精神ではないか? でもこれはかなりカッコいい!

久々に聴いた。昔からビートルズの曲の中では結構印象深い曲なんで強烈に頭に残ってはいたが、改めて聴くとやっぱジョンは凄いなー、と思う。すっかりブルースをジョンなりの雰囲気に持っていっており迫力がある。もともと決まりきった殻を破るのが彼の真髄みたいなところがあるが、まさしくこの曲に表れている。やっぱり曲の作り方が上手い。センスを感じる。(橋本の感想より)

2.シンス・アイヴ・ビーン・ラビング・ユー Since I've Been Loving You
                 レッド・ツェッペリン Led Zeppelin (Words and Music By J.Page, R.Plant and J.P.Jones)

エレクトリックな曲とアコースティックな曲が適度に混じった「V」収録のブルース・ナンバー。特に上南が好みとするタイプの楽曲としてご確認いただきたい。

ブルース発祥のアメリカの民族の日常から生まれたものとは異なり、ものの見事にイギリスのブルースなるものを確立していると思う。彼らが当時のトップを飾った事が納得できるような気がする。ヴォーカルもセンスがあるし、ジミー・ペイジのギターはなんだかんだ言われてはいるが、当時私も含めてギター・キッズなる連中が何がしかのコピーを憧れてした事は事実である。この曲は彼らの中でもベストの一つに入る一曲であると思う。今このような展開を見せる事が出来るバンドがない事も事実であると思うので、それだけに何十年経った今もひたすら名曲として聴きつがれているんだと言う事を改めて確信した。(橋本の感想より)

3.フーチー・クーチー・マン Hoochie Coochie Man
                 オールマン・ブラザーズ・バンド Allman Brothers Band (Words and Music By Willie Dixon)

オールマン・ブラザーズ・バンドの演奏だが取り上げる曲は伝説のブルースマン、マディ・ウォーターズで有名な「フーチークーチー・マン」。ブルースの代表的ナンバーと言える作品。

なんてかっこいいんだ! 感動ものである。これぞブルース。リフもかっこええし、ギターも完璧なブルースだ。使ってるポジションは典型的なペンタトニックのスケールそのままみたいだが、音の細かい使い方と言うか弾き方のニュアンスが独特。昔のマックのピーター・グリーンとはまた違う感覚の音使いである。RUGとしても良質なものはどんどん吸収してRUGらしいものにアレンジして新境地を開いていきたいものである。(橋本の感想より)

4.スリー・オクロック・ブルース Three O'Clock Blues
                  B・B・キング&エリック・クラプトン B.B.King and Eric Clapton (Words and Music By R.B.King and J.Bihari)

大御所登場。今やキング・オブ・ブルースの雰囲気も漂うB・B・キングとエリック・クラプトンの競演曲。コテコテのブルース、という表現がピッタリの一曲ではないか?

まさしく我々が思うところのブルースの中のブルースって感じである。あのヴォーカルは一体どうしたらああいう風に歌えるんだろうか。やっぱ酒とタバコと根性だろうか。それにあのギターはブルースの教則本みたいなもので、これ一発でブルース・ギターを制覇!って言う如し。ギブソン335にヘビー・ゲージを張らないとあんな音はでない。特に後半は三味線のバチの如く弦をぶっ叩いているのでライト・ゲージではもたないかも。いずれにしても素晴らしいブルースには変わりない。(橋本の感想より)

5.リメンバー Remember フリー Free (Words and Music By A.Fraser and P.Rodgers)

ポール・ロジャースの熱唱が展開されるのは彼の原点、フリー時代の録音。ブルースとカントリーはお隣さんであることがよく分かるミディアム・テンポのナンバー。

ポール・ロジャースは確かにブルースとカントリーが同居している事が分かる一曲だ。カラッとしててアクが抜けたブルースといった感じ。やっぱこう見るとブルースは奥が深い!(橋本の感想より)

6.高なる鼓動 My Heart Beat Like A Hammer フリートウッド・マック Fleetwood Mac (Words and Music By J.Spencer)

のっけのスライドギターのフギャフギャフギャ〜ンという音にしびれてしまう。ジョン・レノンが茶化した英国ブルース・ムーブメントで活躍したバンド、フリートウッド・マック(元々はこんなバンドだったのだ)の演奏を楽しんで欲しい。尚、こういうのを聴くと改めて全く新しいブルースはきっと書けない!と確信してしまう。

7.墓場からの口笛 Whistlin' Past The Graveyard トム・ウエイツ Tom Waits (Words and Music By T.Waits)

ちょっと傾向は違うがこの人の歌声は間違いなくブルースを感じる。ウエストコーストの個性派シンガーソングライター、トム・ウェイツの強烈な歌声を聴いてほしい。

「墓場からの口笛」は凄いな。こんばブルースもありなんやな。パンクブルースな感じでええ味出してる。(森岡の感想より)

8.ストレンジ・ブルー Strange Brew クリーム Cream (Words and Music By E.Clapton, G.Collins and F.Pappalardi)

以前B・B・キングがメインの競演作を紹介したエリック・クラプトン。今回はクリームのレパートリーを楽しんでほしい。いわゆるブルース・ムーブメントとは少し異なる前衛性みたいなものを感じる。ちなみにこの曲はクラプトンのオリジナルだが、共作者にはなんと、あのフェリックス・パッパラルディの名が...。

9.ニード・ユア・ラヴ・ソー・バッド Need Your Love So Bad スティング Sting (Words and Music By Little Willie John)

いよいよ来週には横須賀ツアー、ということでアメリカ海軍の兵隊さんが闊歩する街のイメージで選んでみた。これはもうブルース・バラードのスタンダードと言える曲で、オリジナルはリトル・ウィリー・ジョン。当然色々な人がカバーしているが今日はスティングの歌で。こういうちょっと変わった英国人が歌っても心に染みるいい曲だ。

10.葉巻はいかが Have A Cigar ピンク・フロイド Pink Floyd (Words and Music By R.Waters)

そろそろネタ切れ気味なので、今回からは“拡大解釈”シリーズ。これってハードロックちゃうんか? いや、まあ。一般的にはプログレのカテゴリに入るが、EL&Pやイエスのようにクラシックやジャズよりブルースの臭いがするのがピンク・フロイド。ひつこい間奏のギターを楽しんで欲しい。

11.ザ・プッシャー The Pusher ステッペン・ウルフ Steppen Wolf (Words and Music By H.Axton)

今回はあの「イージーライダー」のサントラ盤の冒頭に収録されているステッペン・ウルフのナンバー。ちょっと重くひつこいところが「夜通し飲むな…のブルース」に通じる、というのはかなりこじつけか...。

これまた渋いなー。やっぱこれもブルースや。ほっといたら延々やってそう。しかし雰囲気は十分あると思う。聴く者の自由な解釈でいくらでも情景が想像できてしまう雰囲気を持った曲。いやいやなかなかのものである。(橋本の感想より)

12.グリーン・オニオン Green Onions
         ブッカー・T&MGズ Bocker T and MG's (Words and Music By B.T.Jones, S.Cropper, A.Jackson Jr. and L.Steinberg)

メンフィスのスタックス・レコードと言えばサザン・ソウルを代表するレコード会社だが、ここで数多くのレコーディング・セッションをこなした黒人・白人混成バンドがこのブッカー・T&MG's。また自分たちでもレコードを出しこの「グリーン・オニオン」他のヒットを記録している。尚、このバンドの残党達が初代のブルース・ブラザースのバックを務めている、と言えば多分雰囲気は分かっていただけることであろう...。

13.愛の経験 Have You Ever Loved A Woman デレク&ザ・ドミノス Derek and the Dominos (Words and Music By B.Myles)

またまた登場のエリック・クラプトン先生。これはデレク&ザ・ドミノス名義で録音されたあの名盤「愛しのレイラ」に収録されている典型的なブルース・ナンバー。オリジナルは偉大なるブルースメンの一人、フレディ・キングだったと思う。彼はこの曲が好きでライブでもしばしば演奏しているようだ(興味のある方は「エリック・クラプトン・ライブ」(E.C.Was Here)をぜひ!)。ちなみに曲調は全く違うがこの曲名に影響を受けて書かれた“Have You Ever Had A Headache”という曲があるとかないとか...。

「特選ブルース」のコーナーだが最終に近くなってきてやっぱ来たね、クラプトン先生。我々が認知しているブルースとはまさにこういった雰囲気を言うんだろう。ブルースの中のブルースって言う感じだ。中間のギター・ソロのバッキングが単調の中にもかなり盛り上がりがあり非常に変化があってカッコいい。しかしクラプトンはあの手のギターも弾くんだ、と少々驚きであった。しかしボトル・ネックに関してはやっぱジョニー・ウィンターやオールマン達が一枚上手って感じがする。ブルースの要素の大半を詰め込んである一曲。(橋本の感想より)

14.サブタレイニアン・ホームシック・ブルース Subterranean Homesick Blues
                       ボブ・ディラン Bob Dylan (Words and Music By B.Dylan)

唐突ですが「特選ブルース」もこの一曲を持って最終回。最後を飾るのはボブ・ディランの「サブタレイニアン・ホームシック・ブルース」。ディランはフォークシンガーだ(ここでもハープがガンガン吹かれたりする)が、ブルースとフォークは同じところから出発した音楽である関係上、やはりディランもブルースか、みたいな三段論法が成立する。演奏者の意向などお構いなしにマイペースで歌い倒す唯我独尊の世界をお楽しみいただきたい。

ご拝読、ありがとう。では中身の方もお楽しみ下さい。