What is "Back To The Place" ? WHAT IS ? CONTENTS SINGLES SIDE STORY MAKING - RECORDINGS MAKING - PHOTO

『バック・トゥ・ザ・プレイス』驚くべき完成度を見せてくれた「ワーカーズ」、34曲もの音楽的冒険に誘ってくれた「ミート・ザ・リザルト!」... 復帰後の洛東UNDERGROUNDのハイペースな活動については誰もが納得するものであったが一方で“次は一体どうするんだろう?”という不安があったのも事実であった。そんな状況においても彼らは明確に方向性を定めさらなる力作を送り出した。“原点回帰”というテーマに基づいて生み出されたのはその名も『バック・トゥ・ザ・プレイス』。

短いテーマトラックにサンドイッチされた楽曲群は、時間、場所、心理、などさまざまな局面において“戻るべきところ”(または“戻りたくないところ”)について歌われるもので構成されている。またサウンド的には“ギターサウンドへの回帰”という方向性に基づいた明快な音作りに腐心しており、非常に判りやすい仕上がりになっている。

あの伝説のファーストアルバムと同じ場所、同じ構図で撮影されたジャケット写真も話題である。そういった細かいところまで“原点回帰”を意識して制作されたこの作品は、早くも過去二作を凌ぐと呼び声の高い珠玉の名作である。

シングル第二弾『未だ夢の中』シングル第一弾『ピーチク、パーチク』



以上、復帰後の作品としてはついに第三作目となった洛東UNDERGROUNDの『バック・トゥ・ザ・プレイス』... 心ゆくまでお楽しみいただきたいと思う。











Contents Of "Back To The Place" WHAT IS ? CONTENTS SINGLES SIDE STORY MAKING - RECORDINGS MAKING - PHOTO

収録曲、パーソナル、簡単な曲目紹介は次のとおり。

1.イントロダクション Introduction - Back To The Place (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar / Kazoo
A.Hashimoto .... Talking / Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Talking / Backing Vocal / Piano / Bass / Rhythm Programming

本作のテーマ・トラックだが、すでにお気付きのとおりオリジナルは作品集「ワーカーズ」収録の「誰かが万歩と呼んだ場所」(The Place Someone Called 'Million Feet')。森岡が新兵器のカズーを演奏し橋本・山口が何事かをしゃべっているが、始まった途端フェイドアウト...。

2.あの頃 Those Days (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar

実質のオープニング・トラック。公設市場や背高ポスト、黒電話に未舗装の道路... そんな時代に対する郷愁がウエストコースト風のサウンドに乗って歌われる。コーラスワークと間奏のギターソロが特に秀逸。

3.人生は気楽に Life Always Rolls Easy (Words and Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Acoustic Guitar / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Harp

橋本のソング・ライティングが冴えを見せる軽快なナンバーで全編にフューチャーされる森岡のハープが利いている。“上を見上げて深呼吸してそして叫べ、人生なんてなるようになるさ!”というメッセージそのままの仕上がりである。

4.カッコーの巣の上で One Flew Over The Cuckoo's Nest (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Acoustic Guitar / Bass / Rhythm Programming

前作収録の「狼たちの午後」に続く映画シリーズ第二弾。またしても森岡のハードなボーカルが炸裂する。人間の尊厳とは何か? そしてそれが戻るべき場所なのだろうか?

5.未だ夢の中 Even In Dream (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Acoustic Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming

前々作の「夢のつづき」、前作の「今も暮らす町」の流れを汲む、郷愁系のメロディを持った橋本らしさ溢れる秀作ポップソング。ここでは橋本がアコースティック・ギターをプレイ、素晴らしいギターソロを聴かせてくれる。

6.ごめんね Sorry (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Piano / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar

デモを聴いた森岡が“ソーリー、そーりぃ、小泉総理ぃ♪”とやらかし、それが橋本にバカ受けしたため新作採用が決定したという曰く付きの作品。一方ではビージーズを彷彿とさせるさわやかな作品とも言われているのだが...。

7.冬の雲 Winter Clouds (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano (Solo) / Acoustic Guitar / Bass / Rhythm Programming

冬のどんよりした空模様を感じさせるスローなナンバー。ボーカルのパートがダイナミックに展開するが、そこは森岡が見事に歌いこなしてみせる。作者の山口によるとこの曲はU2の作品に影響を受けて書いたという。

8.苦痛の世界 Neck Belly And Teeth (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

首が痛くなり、お腹が痛くなり、おまけに歯まで痛くなり半死半生の目にあった、という“実話シリーズ”の一曲であり“痛いシリーズ”の一曲でもある作品でかなりハードな展開が痛々しい? また前作に続き盟友・上南雅博がここで登場、迫力満点のベースを弾いている。

9.やる気をなくしたワーカーズ Workers Off The Beat (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar / Finger Snapping
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo) / Finger Snapping
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Finger Snapping / Bass / Rhythm Programming

メロディや全体の演奏が昭和歌謡の雰囲気を漂わせるユニークなナンバー。その実体は台風が来ているのに“大丈夫、大丈夫”と出張に出掛け案の定カプセルホテル泊まりになってしまった山口の体験談をテーマにした実話シリーズ作品。とってつけたようなフィンガースナッピングが利いている。

10.どうして…? - ジョン・レノンに捧ぐ Why...? (Just A Great Age) (Words and Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Rental Record

選曲を行っている段階ですでにこの曲は別格であった。何故なら自身のアイドルに対する橋本の強い思い入れが詞・曲に表れているからだ。随所にビートルズの雰囲気を取り込みながら展開される直球一本勝負。非常にさわやかである。

11.栄枯盛衰 Rise And Fall (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar / Harp
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Acoustic Guitar / Bass / Rhythm Programming

聴いた感じは“堅田サウンドの最新作か?”と間違ってしまうほど哀愁が漂う素晴らしい作品である。橋本が京都の繁華街である三条河原町の移ろいを歌ったもので、エンディングでの森岡のハミング、そしてそれと入れ替わるように入ってくるハープが感動的である。

12.疲労 Fatigue (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Acoustic Guitar / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar

生活を維持するのに疲れ果てた男のことを歌った山口の作品。しかし曲の方はジョージ・ハリスンの雰囲気が感じられ、その連想から橋本が弾くギターも音色といい、スライド風の弾き方といいジョージ節満開で心地よい。また森岡のハーモニーも抜群である。

13.お詫びの唄 No New Song (I'm Sorry) (Words By T.Yamaguti / Music By M.Morioka)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar / Kazoo
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal

森岡ならでは作品である。再三他の二人から新曲は?と言われ続けた彼は“新曲、ない。すまんのー”という歌をでっち上げて発表した。非常に短い歌だが、でもやっぱりこれは新曲ではないのか?と皆が首をひねっている間にしっかり新作に収録された。カズーのソロも入るカントリータッチの痛快なナンバー。

14.恋はおいてけぼり Do You Follow Me ? (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming

初期RUGのテイストを強く感じさせるポップなナンバー。しかしメロディの方はよく聴くとサビ以外の各パートで微妙に異なるなど、橋本の作曲能力のさらなる向上が見られる。また途中のギターソロはワイルドワンズの「渚の思い出」を彷彿とさせる。

15.昔のレコード When I Heard My Old Record (Words By T.Yamaguti / Music By H.Okui)
H.Okui .... Vocal / Tambourine
A.Hashimoto .... Electric Guitar (Solo) / Beer Can
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Bass / Rhythm Programming

RUG初期に度々行動を共にした名セッションマン、奥井弘をフューチャーした作品。奥井自身が作曲も手がけ、ボーカルとタンバリンで参加している。ビートルズの「オールド・ブラウン・シュー」を思い出させるカッコイイ仕上がりのロックナンバーである。

16.七色の星をつかめ Catch The Rainbow Star (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming

基本的にはポップナンバーだが異様なパワーが感じられる不思議な作品。一見浮いているように見える森岡のパンクなボーカルが、ギターが奏でる終盤の美しいメロディに到達して初めてこの曲のキーポイントだということが判る。尚、この曲の“パンク度”(森岡が独自考案した尺度)は最高点の5である。

17.ヘヴィメタル Heavy Metal (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)

なんと驚くことに4人のゲストボーカルを迎えての豪華録音(笑)。“ヘヴィメタルなんか蹴っ飛ばせ! ポップミュージックの復活だ!”と歌っているわりにはゴリゴリのロックンロールで展開されるパワーソング。単純明快に見えるが非常に奥が深いRUG特有のスルメ型ナンバーである。

18.七年前のこと Seven Years Ago (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Acoustic Guitar / Bass / Rhythm Programming

「もうとり戻せない」「ただ若すぎた日々」とならぶ珠玉のバラードが誕生。森岡が聴かせるボブ・ディラン風のボーカルは非常に淡々としているが聴き終わった後リスナーの胸に去来するものは... これはあるトレンディドラマを題材にして橋本が書いた曲である。

19.フィナーレ Finale - Someone Called 'Million Feet' (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar / Percussions
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Percussions / Bass / Rhythm Programming

オープニング同様オリジナルは「誰かが万歩と呼んだ場所」。こちらはフィナーレにふさわしくパーカッションも絡めた賑やかな演奏に乗せてタイトルの連呼が行われ、予定調和的な拍手で終了。しかし最後のワンフレーズ“We took photograph in front of an old house”がジャケット写真とオーバーラップする味な演出となっており、これを聴けば確かに落ち着くべきところに落ち着いた感じがする。

--.弱り目に祟り目 Embarrassed Eye Makes Harassed Eye (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar as Percussion
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming

「結局薬局放送局」「二階から目薬」に続く三部作最終編。当然この作品集のコンセプトに合うわけがなくシークレットトラックとして収録。だがシークレットトラックの理由はブルースバンド時代のフリートウッド・マックのある曲にそっくりだから、という説が実は有力である。

 Let's Play Tracks Of Album ...



Single Release With "Back To The Place" WHAT IS ? CONTENTS SINGLES SIDE STORY MAKING - RECORDINGS MAKING - PHOTO

以下は作品集『バック・トゥ・ザ・プレイス』と並行してシングルリリースされた曲目である。

1-A.ピーチク、パーチク Pee-Chi-Ku,Paa-Chi-Ku (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming

電車の中で傍若無人に振る舞う女子高生に怒った橋本が書いたメッセージソング。のっけから炸裂する森岡のボーカルに引っ張られて最後まで緊張感溢れる展開を見せる。尚、この曲は本作品集への選出からは漏れたが、山口の動議でシングル採用された経緯がある。

1-B.窮鼠猫を噛む A Panicked Rat Bytes The Cat (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Acoustic Guitar / Strings / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Acoustic Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar

エレキギターが一切使われないアコースティックな曲だが、リズムはヒップポップ風でそれにラップ風のボーカルが重なる一種独特の雰囲気を持つ作品。和製英語三部作(「結局薬局放送局」「二階から目薬」「弱り目に祟り目」)の番外編と言われている。橋本のギターソロにも注目。

2-A.未だ夢の中 Even In Dream (Single Version) (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Acoustic Guitar / Bass / Rhythm Programming

本編にも収録されている作品だが非常に感動的なので当然のことながらシングルリリースが決定した。ただし本編は橋本が流麗なアコースティックギターを弾いているのに対し、シングルバージョンは優しいタッチのエレキギターをプレイ。これはこれで納得できる仕上がりとなっている。

2-B.素敵なグッドソングス He Makes Good Songs (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Bass / Rhythm Programming

元はRUG第三作品集「RUG・ザ・ムービー」収録曲。本作品集の制作中、いつもスタジオで森岡が口ずさんでいたことから、急遽森岡のボーカルでリメイクされることに決定。新バージョンはピアノを基調に森岡の感動的なボーカルと橋本の印象深いギターソロをフューチャー。

Side Story Of "Back To The Place" WHAT IS ? CONTENTS SINGLES SIDE STORY MAKING - RECORDINGS MAKING - PHOTO
 あの頃 - Three public company ...
この曲で歌われる“三つの公社”は今の子供達が社会の授業で学ばないもののひとつである。“三公社五現業”という覚え方の中で“三公社”とは日本国有鉄道、専売公社、電電公社のことであった。いずれも現在は民営化されJR、JT、NTTとなり“三公社”は死語となる。ちなみに“五現業”は郵便、造幣、林業、印刷、アルコール専売を指した...。

 人生は気楽に - 原題
この曲の原題“Life Always Rolls Easy”は“人生お気楽ポンチ、みたいな曲が出来そうや”と言う橋本に対し山口が発した言葉がそのままタイトルに採用されたと言われている。この語感に強い刺激を受けた橋本はこの言葉をキーワードとして一気に歌詞を書き上げたという。

 カッコーの巣の上で - 同名映画
映画の内容をモチーフに曲を書くシリーズ第二弾はジャック・ニコルソンが主演しアカデミー賞を受賞した名作が元ネタ。刑務所の強制労働がいやで精神障害を装って精神病院にやってきたマック(ニコルソン)は、そこでロボットのように体制に服従する患者達を見て一人抵抗を試みる。TVでワールド・シリーズを見ようと提案したり、バスを盗み出し患者達を海へ連れて行ったり。徐々に自我を取り戻す患者達。しかし... ちなみに第三弾は橋本が絶賛する「真夜中のカウボーイ」だという噂がもっぱらである。

 未だ夢の中 - Even
この曲の原題にある“Even”は .... 形容詞:平らな、水平の、一様な、平等な、互角の;規則的な、ちょうどの / 副詞:...でも、...すら;なお、一層;平等に、互角に。作者である橋本は“夢の中ですら”というニュアンスでこの単語を使用したと思われる。よって邦題は“なお夢の中”と解釈して勝手につけた山口の誤訳。言葉というのは難しいものである。尚、この単語は動詞にもなりその場合“平等に扱う”と訳せる。(訳は三省堂・デイリーコンサイス英和辞典より)

 ごめんね - 小泉総理
“ソーリー、そーりぃ、小泉総理ぃ♪”... 小泉純一郎は1942年生まれ。祖父・又次郎、父・純也とも衆議院議員であり3世代目の政治家。87〜89代内閣総理大臣、20代自由民主党総裁を歴任。“自民党をぶっ壊す!”発言で人気爆発、構造改革、郵政民営化、年金問題、靖国参拝などさまざまな話題を提供した。RUGにおいては“増大する財政赤字”で「結局薬局放送局」、“イージス艦購入”で「二階から目薬」、“靖国”で「窮鼠猫を噛む」と三度も登場した人気者?である。

 冬の雲 - 雲、冬の雲
雲(くも)とは、水滴または氷の粒(氷晶)が大気中に浮かんでいることをいう。山地などで地上が雲に覆われていると霧となる。尚、上空の強い寒気が流れ込み、気圧配置は西高東低で、大陸側の高気圧から吹き出した風が日本海をわたり、筋状の雲を作っている... という雲の状況がいわゆる“冬の雲”である。

 苦痛の世界 - 持病
この曲は「石」に続く“痛いシリーズ”第二弾作品。さすがにRUGのメンバー達も中年を越えてそれぞれ慢性的な持病に悩まされるにようなってきた。「石」は尿道結石にこっぴどく痛めつけられた森岡が主人公であったが、こちらの主人公は橋本。彼の場合は背骨が神経に当たって首が痛くなるという悲痛な持病があり、それに加えて時折激しい腹痛に見舞われる。「苦痛の世界」はそれに加えて歯が痛くなる、という三重苦に陥った状態が歌われている。ちなみに残る山口の場合は年に数回激しい腰痛に悩まされるとのことで第三弾の準備も万端と言われている...。

 やる気をなくしたワーカーズ - 淡谷のり子
RUGの作品としては珍しく昭和歌謡を感じさせるユニークな作品。この録音の際に“淡谷のり子”の名前が挙がった。昔の歌謡歌手=演歌歌手というイメージがあるが「演歌を聴くとムカムカする」と言い切る彼女はシャンソン出身で、戦前から1999年に92歳で亡くなるまでブルースの女王として歌い続けた偉大なるシンガーであった。また歯に衣をきせない言動で知られ、当時の超人気アイドルだった山口百恵やレコード大賞などがばっさばっさと切り捨てられた。そういった辺りにRUGとしては親しみを感じたのではなかろうか...。

 どうして…? - ジョン・レノン
アイドルであり偉大なアーチストであったジョン・レノンに橋本が捧げた作品である。ここで取り上げられた1961年はビートルズがリバプールのキャバーン・クラブのレギュラー・バンドになった年。多くの若者達が彼らの演奏に熱狂したこの年の暮れにはその運命に大きな影響を与えたブライアン・エプスタインがマネージャーに就任している。もうひとつの年1980年はジョンが作品集「ダブル・ファンタジー」を発表し再出発した矢先にNYで凶弾に倒れた年である。あまりにも悲しい偉大な時代の終焉であった...。

 栄枯盛衰 - 京都・三条河原町
この哀愁に満ちた作品では次のような内容が歌われる。“人形を操るストリート・アーチスト、子犬を売る女性、ビルの前では白服のネイル・アートの呼び込み人... そこには紳士、淑女の休息の場所はない。古風なたたずまいのコーヒー・ショップは消えうせた。栄枯盛衰は世の常”... それは作者・橋本の目に映った現在の京都・三条河原町の姿である...。

 疲労 - 英単語1文字/漢字2文字シリーズ
山口の作品傾向のひとつとして“英単語1文字/漢字2文字シリーズ”というのがある。古くは「再会 (Reunion)」や「理解 (Understanding)」、RUG活動再開後も「旧交 (Friendship)」「欠乏 (Lack)」「後悔 (Regret)」などの作品がある。どちらかというと何らかの心象をテーマにしたものが多い。「疲労 (Fatigue)」もまたその系列に属し日々の暮らしに疲れそこからの解放を渇望する男の叫びを歌っている。だが一方では繰り返しでタイトルが歌われない(そもそも歌詞に Fatigue は一切登場しない)という彼の作品としては非常に珍しい曲でもある。

 恋はおいてけぼり - おいてけ堀
この曲は完成した当初から“RUG初期のテイスト”を感じさせる作品として注目され必然的に本作に採用されることとなった。原題“Do You Follow Me ?”は“俺の話についてきてるかい?”という意味で、山口が東京・山手線内で放映?されている映像番組“ドン・シボリオーネの英語でしゃべりオーネ”という英語クイズに出題されたセンテンスからイメージをふくらませて書いた歌詞が付いている。しかし一方では、夜になると釣り人に釣った魚を“おいてけ〜”と不気味に呼びかける堀にまつわる怪談「おいてけ堀」との関連が噂される作品でもある...。

 昔のレコード - 奥井 弘
この曲を作曲し自らボーカルとタンバリンを担当しているのは奥井弘である。古くはRUGのセカンドアルバム以降の作品にゲスト参加していた彼は、その後店舗デザイナーの道を歩んでいった。唯一コンタクトを持っていた山口ですら久しく連絡を取っていなかったが2005年突然再会。そのあたりの流れで今回のゲスト参加に発展した。ちなみに「昔のレコード」は「九時の雨 - さよならジョン・ウェイン」とともに1980年頃に書かれたが、発表されることなくそのまま眠っていたのだと言う。

 七色の星をつかめ - パンク度とRUG度
山盛りテーブルに乗せられた作品群のなかから限られた数の新作収録曲を選ぶのは非常に辛い作業である。あきらかに没と言える曲ならよいが、大抵の場合どの曲もどこか捨てがたい魅力を持っていて、それを単純に比較すること自体が苦痛以外の何物でもない。そんな厳しい状況の中で森岡が導入したのが“パンク度”と“RUG度”という二つの尺度。各曲目をこのふたつの数値に置き換え順列を付けよう、という試みである。最終的に「七色の星をつかめ」に“パンク度=5”“RUG度=4”という高いポイントが付与されたが、実際のところその基準については明確な説明がないまま現在に至っている...。

 ヘヴィメタル - 4大ボーカリストの競演(?)
何をやらかすかと思ったらここでは4大ボーカリストの競演である。一番を歌い始めるのはイントロのいい加減なメロディからも類推されるようにイアン・ギランあたりと思われるが声量はないし歌も下手だし... 要は似非ハードロッカーである。二番担当は低音が渋いエンターテイナー。もちろん御大フランク・シナトラであろう(あれ? ご冥福をお祈りします!)。二番の途中から参加する、歌ってるというよりしゃべってるのはフォーク・シンガーのボブ・ディランか(全然ヘタクソだし曲に乗ってないところは「ウィ・アー・ザ・ワールド」に現れたウィリー・ネルソンかも...)? 実は一番の途中にも出没した三番担当のパンクスはもちろんジョニー・ロットン(先生)であろうか。だが一部では“猫ひろし”かも知れないという噂が流れている。以上が4大ボーカリストでした、ナナナナナ〜。

 七年前のこと - トレンディドラマ
この曲は橋本があるトレンディドラマにインスパイアされて書いた作品だと言われている。トレンディドラマ'(Trendy Drama 和製英語)とは、1990年前後に多く制作された日本のテレビドラマの1ジャンルで、都会に生きる男女の恋愛やトレンドを描いた現代ドラマ。配役はドラマ製作の時点で演技や芸能活動が活発であり、美男美女もしくは目立った個性が視聴者に極めて好意的に受け止められている俳優、歌手、タレントが起用されることが多い。女優では浅野ゆう子、浅野温子のW浅野、男優では石田純一、「平成御三家 (トレンディ御三家)」と呼ばれた織田裕二、吉田栄作、加勢大周らが特に活躍した。(フリー百科事典「ウィキペディア」より) 尚、橋本に影響を与えたドラマのタイトルなどは明らかにされていない...。

Making Of "Back To The Place" - Recordings WHAT IS ? CONTENTS SINGLES SIDE STORY MAKING - RECORDINGS MAKING - PHOTO

従来の録音は、バッキングならバッキングだけ、とかボーカルならボーカルだけ、という極端な方法で行われていた。これはひとえになかなか時間がとれない森岡が不在でも録音を進行させるための苦肉の策であった。だが『バック・トゥ・ザ・プレイス』ではそれを改め (1) 全員集合を原則とする (2) バッキングからボーカル、コーラスまで一回の録音で完全に仕上げる という方法を採用した。お陰で全体の所要時間は延びてしまったが、曲の完成度は間違いなく向上したと言えるだろう。尚、そのような手法を実現する都合もあって今回は選曲から録音開始までの間に異例とも言える半年近い準備期間がおかれた。

■2005/04/16
事前に配布されたデモCD(作曲者がギターの弾き語りで新曲を聴かせる)を順番に聴きながら新作収録曲の選出が行われた。各自の思いが輻輳する上に森岡が“パンク度”と“RUG度”という斬新?な尺度を持ち込んだため事態は紛糾したが、何とか当初予定の16曲を選出した。

■2005/05
4月中旬の選曲に従って一連の作業を開始すべきであったが、突然動議が出され新たに「ピーチク、パーチク」が第一弾シングル曲をして採用された(それに伴い作品のトーンにかなりそぐわない「窮鼠猫を噛む」がそのカップリング曲に決定)。この5月はそれも含め全17曲を森岡・山口どちらが歌うか(いわゆるボーカル割り)の決定に費やされた。尚、この作業は本人や作曲者の希望を反映させるため全員の投票結果を重視して行われた。

■2005/06
ボーカル割りが決定したのを受けて、この6月にはボーカルキーの確定に費やされた。すなわち森岡、山口がそれぞれ歌いやすいキーを申告、それに沿ってコード表などの書き換えが行われるのだ。結局従来以上に気合いの入っていた森岡からかなりのキー変更要請がありてんやわんやの状態となる。

■2005/08
8月には橋本のギターのバッキングで実際のボーカル担当者が歌う本格的なデモが録音される。このデモをCDに焼き込んで配布、聴き込んで実際の録音に臨もう、という過去に例をみない周到な準備である。また「窮鼠猫を噛む」がシングルに転用されたため空いた枠に何を追加選出するかも並行して協議され、最終的に「栄枯盛衰」の採用を決定。これで録音課題曲はタイトル曲を除き全18曲(アルバム収録16曲、シングル収録2曲)となる。

■2005/10/22
ついに第一回録音が実施される。手始めは最終的には「イントロダクション」「フィナーレ」に分解されて収録される「バック・トゥ・ザ・プレイス」。森岡が新兵器カズーを演奏、橋本と山口が原稿を見ながら台詞を述べたり、森岡が新兵器と称して持ち込んだパーカッションを叩いたりして完成。またあわせていずれも山口がボーカルを担当する「あの頃」「ごめんね」を収録。事前に周到な用意をしてきた森岡主導で素晴らしいコーラスが録音された。尚、終了後次回課題曲もしっかり選出され“大躍進!”と喜ぶ他の二人に対し、1ヶ月後の録音を向けて“うまいこと出来たら儲けもん、などということのないように!”と橋本よりコメントが出されたという。

■2005/11/12
第二回録音も非常に軽快なペースで行われた。ボーカルにジョン・ロットンとともにブライアン・フェリーも入っていた!と橋本が主張する「カッコーの巣の上で」、橋本が素晴らしいアコースティックギターを録音した「未だ夢の中」(ただしコーラスは酸欠だったらしい?)、さらに森岡が素晴らしい!と自ら考案したコーラスを自画自賛した「疲労」の三曲が完成となる。終了後課題曲を選出、次回はクリスマス頃の録音実施ということで“プレゼント交換もしよか、予算は500円まで!”などと浮かれた雰囲気が漂った。

■2005/12/24
案の定“24日、たいへん申し訳ないことに行けんようになってしもうた。申し訳ない! のっぴきならん仕事がはいってしもうた。ごめん。大クリスマス・フェイント弾…。”というメールが森岡から送信され3人揃っての録音は先送りとなる。代わりに橋本と山口により前回録音した「未だ夢の中」にシングル発表用のパートを追加録音。また事前に山口から出ていた動議、「昔のレコード」の採用を決定する。

■2006/01/03
正月早々から橋本、山口、そしてRUG初期のセッションには欠かせない顔だった奥井弘が集合、「昔のレコード」のボーカル、タンバリンパートの録音を実施する。“長いこと歌ってへんしなあ”“英語がちゃんと読めへんわ”といろいろ言い訳をしていた奥井だが、しっかりワイルドな歌と演奏を残してくれた。

■2006/01/14
年末のフェイントから年が明けようやく第三回録音が実施される。この日はまず山口がアコースティックギターのジャン弾きを再三空振りする、という醜態をさらした「人生は気楽に」 、そして全員が“パンク度5のボーカル”に注目した「七色の星をつかめ」(山口曰く“大いなる勘違いの大爆発”...)。またこの日森岡から“新作完成の暁には東京へみんなで出向き新作CDを直接奥井君に手渡そう”という提案が行われ満場一致で承認された。

■2006/01/28
橋本だけが山口邸に現れ「七色の星をつかめ」の最後のギターのパートだけを録音する。前回の録音内容に不満だった山口の強いリクエストによるものらしい。

■2006/02/04
第四回録音予定日だったが、東京人形町の呉服店街にあの悪名高き“フェイント団”が現れた(? 橋本談)ため延期となる。

■2006/03/18
仕切直しで第四回録音。まず森岡がカラオケ気分で「冬の雲」をやっつけた後、アコースティックギターを弾かず叩くという斬新な手法をとった「弱り目に祟り目」、基本的な楽器の収録完了後、突然全員でフィンガー・スナッピングを録音した「やる気をなくしたワーカーズ」とサプライズな一日となった。

■2006/04/15
春になり勢いが出てきたRUGの面々はこの日第五回録音を実施した。最後の“ぼよよん!”(是非ともシングルを入手し確認下さい)まで緊張感溢れる録音となった「ピーチク、パーチク」、RUG初期のテイストを強く感じさせる「恋はおいてけぼり」、そして奥井君の熱演に応えるべく気合いのこもった録音となった「昔のレコード」... またこの日以降、録音を採用する際のキーワードに“決裁!”が使用されるようになった。

■2006/05/03
RUG的には軽快に進んできた録音作業だが、それにははっきりした理由がある。何となくハマりそうな曲というのは暗黙の了解の中で判るらしく、それを先送りにしたまま進んできたからである。しかしこの第六回録音は課題曲が減ってきていよいよ危険な領域に突入せざるをえなくなってきた。とは言うものの森岡がボブ・ディランもびっくりの感動的ボーカルを聴かせる「七年前のこと」はすんなり録音出来て一安心。しかしそうは問屋が卸すわけがなく、山口が練習不足を露呈してハマりまくった「どうして...?」、さらに森岡考案のコーラスが笑い地獄を巻き起こした「苦痛の世界」と激しいバトルが繰り広げられた。とりあえず結果を残し一息ついた森岡は次のように語ったという...“笑いの壺を乗り越えてこそさらなる成長がある”。しかし終わってしまえばいい気なもので「苦痛の世界」に上南雅博(ベース)の応援を求めること、第二弾シングルに予定している「未だ夢の中」のカップリングに「素敵なグッドソングス」をリメイクすることが確認された。また次回は録音よりもジャケット写真の撮影に重点をおくことも決定。

■2006/06/17
第七回録音兼ジャケット撮影大会当日。しかし諸般の事情で撮影は延期となり(詳細は次のコーナーにてご確認下さい)結局、憂鬱な気分が見事反映?して「栄枯盛衰」は大変感動的な仕上がりとなった。

■2006/07/29
第八回録音兼執念のジャケット撮影リターンマッチ... この日もすったもんだが展開されたが詳細は次のコーナーでご確認いただくとして、録音の方は明るい開き直りで一気に乗り切った! まず4大ボーカリストの競演という訳のわからない状況で録音された「ヘヴィメタル」、森岡のボーカルと橋本のギターが感動を呼ぶ「素敵なグッドソングス」が完成となり、残るは「窮鼠猫を噛む」だけとなる。またこの段階では制作開始当初から噂になっていた“森岡の新曲”については諦めムードが漂っていた。

■2006/08/19
いよいよ録音も最終回。まず橋本がひたすら先送りにしてきた「窮鼠猫を噛む」の録音にチャレンジする。しかし素晴らしいアコースティックギターのソロが披露され結局心配は杞憂に終わる。またこの日突然、森岡より“新曲、書けんかった。すまんのー”という歌が披露されそのまま録音された。題して「お詫びの唄」。やっぱりこれって新曲だよなー?ということで森岡のミッションも見事達成となる。終わりよければすべてよし。夜は上南邸に全員で出張録音。「苦痛の世界」のワイルドなベースをしっかりゲット。そのまま打ち上げに突入したのであった。この段階で『バック・トゥ・ザ・プレイス』の音源は完成となる。

Making Of "Back To The Place" - Photo WHAT IS ? CONTENTS SINGLE SIDE STORY MAKING - RECORDINGS MAKING - PHOTO
今回のジャケット写真のデザインは随分以前から決定していた。思えば復帰後第一弾作品集「ワーカーズ」の時に森岡が“あの伝説のファーストアルバムと同じ場所・同じ構図、ただし年食った現在の3人が写っている”デザインを提案したのである。しかし最終的には石山駅前交番のデザインとなり、森岡案は“次回作品で採用”ということになった。

復帰第二弾作品集は当初“Another Side Of Workers”と仮称され「ワーカーズ」で没になった森岡案を採用すべく制作がスタートした。しかしいつの間にか、録音時の合い言葉“結果を出せ! (Meet The Result!)”がそのままアルバムタイトルに昇格、タイトルの語感からビートルズの「ミート・ザ・ビートルズ」(アメリカ盤。英日では「ウィズ・ザ・ビートルズ」)が連想され、残念ながら森岡案はまたしてもお蔵入りとなってしまった。

しかし三度目の正直とはよくいったものである。復帰第三弾は“原点回帰”という大きなテーマを掲げて制作されることが決まり、森岡案を採用することを前提としてタイトルも『バック・トゥ・ザ・プレイス』と命名された。“あの場所に戻れ!”と歌われるあの場所こそ彼らが1977年にファーストアルバムのジャケット写真を撮影した洋館である。

しかしまずは中身、ということでジャケット撮影の計画が行われたのは2006年6月。撮影担当は発案者である森岡に決定した。森岡は当日の立ち位置やポーズを確認しやすいようにファーストアルバムのジャケットを拡大印刷して準備した。さてG月17日撮影当日。録音は1曲だけにしてジャケット撮影を!と意気込んだRUGの面々だったが“夕方には雨が降る”という予報。だが森岡が山口邸の門をくぐった時にはすでに雨が降り始めていた! 結局気もそぞろで録音を終えるが雨は止まず...。仕方なく橋本の車に乗り込み現場へ行き状況確認のみ実施した。そもそも梅雨時に写真撮影をする、ということに無理があると思うのだがそこはRUG、意に介さず次回の雪辱を誓った。

リターンマッチは7月29日に決定。録音の方も大詰めで“今日あたりジャケット写真を片付けなあかんな”という状況。朝からよい天気で勇んで家を出た森岡だが地下鉄を降りて愕然とする。“雨や...”... しかし全員が集まった時にはほとんど降っていなかったのですみやかに橋本カーで現場へ。ところが出発した途端雷が鳴りまたしても雨が...。“どうやら見られているらしい”というのが全員の感想。とりあえず何食わぬ顔をして録音に精を出す。そしてふと気が付くと雨が止み少し晴れ間が。“今や!”と脱兎の如く橋本カーで現地へ。フェイントはRUGの得意技である。さすがに雨の準備も雷の準備も追いつかず、森岡の指示に従ってスピーディな撮影が実行された。ファーストアルバム当時は現像に出し... だったが今はデジタルカメラの時代である。夜には森岡から山口に画像が転送されジャケットに貼り込まれたという。思えば3年越しのジャッケット案。こんなところにも“原点回帰”が感じられ印象深い。

ご拝読、ありがとう。では中身の方もお楽しみ下さい。