What is "525 ..." ? WHAT IS ? CONTENTS SINGLE RELEASE MAKING PROCESS FROM A.HASHIMOTO

『525...』 ※ジャケットデザイン:奥井弘相も変わらずコロナ、コロナである。そんな中で自粛に疲れてしまった洛東UNDERGROUNDが選択したのがリモート録音。突発的にリリースされた作品集「COVID-19」は記憶に新しい。しかし実はその影で一旦完成が先送りになっていた作品集が存在した! 満を持してリリースされた新作、その名も『525...』。

しかし“525”とは何を意味するのか? 付属のライナーノーツを読んでも今イチよく分からない(何となく5月25日ではないのか?という声が多いようだが)。しかしこれはRUGのリーダーである橋本明宣が体験した何らかの出来事をコンセプトにした作品集である。そしてここに描かれた世界は次のようなものであるらしい。“何らかの出来事により普通では考えられない平日の行動の贅沢さを感じる一時を多く過ごしたが、ある時点でついにあたり前の日常に戻った。新生活が始まり暫くしてフッとその時の自分を見つめ直し多少の迷いを感じつつも今もそれを継続している...”...。

さらにこの作品集は従来にはなかったいくつかの特徴を備えている。まず全曲の作詞を橋本自身が担当している。さらに歌詞はすべて日本語である。また大半の曲が橋本により作曲されており、他のメンバーは各自1曲づつの提供である。橋本はアレンジやミキシングにも積極的に関わっており『525...』を異色作たらしめる。
シングル『永遠に生きる』
一方恒例の同時リリースシングルは山口作詞・上南作曲による英語詞の「永遠に生きる」。本編との乖離には後で述べるようなドラマがあった上に、この曲には上南の強い思いが込められており単なるシングル曲に止まらないアイテムとなっている。




結果として制作に3年以上の期間を要した『525...』。まずはその仕上がりをご確認いただければ幸いである。


Contents Of "525 ..." WHAT IS ? CONTENTS SINGLE RELEASE MAKING PROCESS FROM A.HASHIMOTO

まずは収録曲、簡単な曲目紹介を行う。尚、本来の各曲の姿は橋本自身が記したCD付属のライナーノーツを参照いただくとして、ここでは客観的な観点から述べてみた。

1.五月の風の声 Voice Of Wind On May (Music By A.Hashimoto)
 A.Hashimoto .. Electric Guitar (Melody)
 M.Morioka ...... Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Bass
 T.Yamaguti ..... Acoustic Guitar / Strings / Rhythm Programming

橋本のギターで奏でられる起伏に富んだメロディで構成されたインストゥルメンタル・ナンバー。通常ならバタバタと仕事に励んでいるはずの時間に爽やかな風に吹かれて過ごす贅沢な時間... これがこの曲のコンセプトとなっている。曲もさることながら森岡ならではの柔らかいガットギターのストローク、上南の重量感溢れるベースなど完成度の高い楽曲に仕上がっている。尚、当初はこの曲の曲名である「五月の風の声」が新作のタイトルとして有力視されていたが、最終的に橋本の判断で『525...』に決定したとのこと。

2.遠い昔の同じ夢 Same Dream For A Long Time Ago (Words and Music By A.Hashimoto)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar (Solo)
 M.Morioka ...... Chorus / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Bass
 T.Yamaguti ..... Lead Vocal / Electric Guitar / Piano / Organ / Rhythm Programming

こちらも完成度の高いロック・ナンバー。特にギターソロのパートは橋本によるダブルトラックの演奏となっており聴き応えがある。上南のベースをはじめドライブ感も満点。尚、橋本は常々歌謡曲の影響を受けていることを公言しているが、この曲についてはメロディや全体の雰囲気が極めて和製ロック的である。

3.こころ模様 Innervision (Words By A.Hashimoto / Music By M.Morioka)
 A.Hashimoto .. Chorus / Acoustic Guitar (Solo)
 M.Morioka ...... Lead Vocal / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Chorus / Bass
 T.Yamaguti ..... Chorus / Electric Guitar / Synthesizer / Rhythm Programming

森岡の高い作曲センスが発揮された一曲。メジャーとマイナーを行き来する地中海の香りがする素晴らしい作品であるが、一方非常に昭和歌謡的雰囲気も持っている。先に述べたとおり歌謡曲の影響を受けている橋本にとっても大いにお気に入りの曲であり、作詞、ギター演奏共相当気合いを入れて臨んでいる。また森岡自身のボーカル、森岡自身が考案したコーラスアレンジも抜群の効果を生んでいる。

4.ラジオ・ファズ Radio Fuzz (Moved Version) (Words and Music By A.Hashimoto)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar (Solo)
 M.Morioka ...... Lead Vocal / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Bass
 T.Yamaguti ..... Chorus / Acoustic Guitar / Electric Piano / Brass Section / Rhythm Programming

「ラジオ・ファズ」の発表当時のアレンジはこのバージョンである(Version 2 と区別するため後に山口によりこちらは“Moved Version = 感動バージョン”と命名された)。歌っているハチャメチャな内容とは裏腹にジョージ・ハリスンあたりを彷彿とさせる哀愁漂う雰囲気が何とも渋い。ちなみに間奏をブラス(吹奏楽器)で!と橋本が言ったかどうかについて公式な記録はないが、いかにも橋本らしいアイデアだと頷ける仕上がりである。

5.ただ、悲しくて Only Sad (Words and Music By A.Hashimoto)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar
 M.Morioka ...... Lead Vocal / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Bass
 T.Yamaguti ..... Chorus / Acoustic and Electric Guitar / Piano / Organ / Rhythm Programming

この曲もワワワのコーラスが効いているが、こちらはムード歌謡というよりR&Bバラードに仕上げられている。非常に聴きやすいアレンジが施されており、ボーカル、コーラス、各楽器とも雰囲気に応じてバランス良く配置されている印象である。さらにこの曲は最終のミキシング会議でさらにブラッシュアップされたらしくその点でも橋本の力量の高さがうかがえる。

6.昼下がりの時間 A Moment Of Early Afternoon (Words By A.Hashimoto / Music By T.Yamaguti)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar
 M.Morioka ...... Chorus / Harp / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Bass
 T.Yamaguti ..... Lead Vocal / Ukulele / Piano / Harpsichord / Rhythm Programming

山口が作曲を担当している曲。山口が鼻歌で発表した7曲の中から橋本により選出され歌詞が付けられた(発表当初は便宜上「安易でありがちな歌1」と題されていた)。また橋本のアイデアで3拍子のワルツ形式に変更されたこの曲は上南の堅実なベース、森岡のハープ・ソロなど聴き所も多い。しかし山口の演奏しているウクレレはたどたどしく今イチである。

7.摂氏18度 18 Degrees Celsius (Words By A.Hashimoto / Music By M.Johnan)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar (Solo)
 M.Morioka ...... Chorus / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Chorus / Bass
 T.Yamaguti ..... Lead Vocal / Electric Guitar / Piano / Strings / Rhythm Programming

上南が作曲を担当した1曲。上南らしいメロディがある曲で、橋本もそれに沿ってイメージした歌詞を付けたが後述する事件で一時すったもんだすることに。だがそれもすっきりと解決、こうやって無事新作に収録された。ただ作品集全体の構成を考えた結果なのか山口がファンキーなアレンジを施しているが、残念ながら成功しているとは言い難い。また山口の歯切れの悪いサイドギターは余計だと言わざるをえない。

8.ラジオ・ファズ Radio Fuzz (Foolish Version) (Words and Music By A.Hashimoto)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar (Solo) / Fuzz Voice
 M.Morioka ...... Chorus / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Chorus / Bass
 T.Yamaguti ..... Lead Vocal / Electric Guitar / Piano / Brass Section / Rhythm Programming

山口により“Moved Version = 感動バージョン”と区別するため“Foolish Version = アホ・バージョン”と命名されたバージョン。しかしながら単純明快な構成、意味不明なララファというコーラスなどRUG得意のパターンで展開され分かりやすい。さらにミキシング会議にて橋本が無理難題を言ったとされる、ついにラジオはぶっ壊れたかー!という終わり方などもユニークである。

9.もう一度、もう一回 Once Again, One More Time (Words and Music By A.Hashimoto)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar (Solo)
 M.Morioka ...... Lead Vocal / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Chorus / Bass
 T.Yamaguti ..... Lead Vocal / Electric Guitar / Synthesizer / Rhythm Programming

和の雰囲気が強い本作において洋楽的な展開をみせる一曲。ハードロックに近い展開と言える。よって橋本、上南の通称・演奏隊のキレキレの演奏が楽しめる趣向である。またRUGの楽曲でしばしば採用される森岡・山口のダブルボーカルも冴えている。

10.ため息 Sigh (Words and Music By A.Hashimoto)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar (Solo)
 M.Morioka ...... Lead Vocal / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Bass
 T.Yamaguti ..... Chorus / Acoustic Guitar / Piano / Strings / Rhythm Programming

ノスタルジックな演奏に乗って歌われる終曲。メロディや全体の構成も凝ったものである上に橋本考案のコーラスが非常に効いている。森岡のボーカル、上南のベースなどそれぞれの楽器のバランスも良い。また終盤に用意された橋本のギターソロは思いの丈をぶつけるような素晴らしい演奏となっており終曲にふさわしい仕上がりである。

Single Release With "525 ..." WHAT IS ? CONTENTS SINGLE RELEASE MAKING PROCESS FROM A.HASHIMOTO

作品集『525...』リリースと同時にシングル「永遠に生きる」もリリース。以下にこちらの簡単な紹介を。

1.永遠に生きる Live Forever (Words By T.Yamaguti / Music By M.Johnan)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar (Solo)
 M.Morioka ...... Lead Vocal / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Chorus / Bass
 T.Yamaguti ..... Chorus / Electric Guitar / Strings / Rhythm Programming

詳細は後述するが本編収録の「摂氏18度」と曲は同じだが歌詞とアレンジは全く違う。こちらはミディアムテンポのAOR風アレンジとなっており、這うような上南のベースに乗って森岡の重厚なボーカルが聴かれる。また橋本のギターソロも曲に合ったメロディアスなものである。尚、このシングルにはタイ向けに先行リリースされたものと国内向けにリリースされた“Remix 2021”というものの2つのミックスが存在する。

2.もう一度、もう一回 Once Again, One More Time (English Version) (Words and Music By A.Hashimoto)
 A.Hashimoto .. Chorus / Electric Guitar (Solo)
 M.Morioka ...... Lead Vocal / Acoustic Guitar
 M.Johnan ....... Chorus / Bass
 T.Yamaguti ..... Lead Vocal / Electric Guitar / Synthesizer / Rhythm Programming

バックトラックは本編収録の「もう一度、もう一回」と同じだとされるが、森岡・山口のボーカルは英語版として完全に録り直されている。同じ曲でも歌っている言語によってこうも印象が変わるのか、という好例であろうか。

Making Process Of "525 ..." (For A Long Time) WHAT IS ? CONTENTS SINGLE RELEASE MAKING PROCESS FROM A.HASHIMOTO

長い時間を要した『525...』はいかにして誕生したのか?

2018/05/03
この日、RUGのメンバー達は上南行きつけのお好み焼店“京舞子”に集合していた。呼吸器系の病気で一時入院していた上南の快気祝いと新緑の会を兼ねた飲み会である。どうやらこの時に“次作は橋本の歌詞を中心とした作品集を作る”という方向性が決定されたようである。

2018/08/19
直前のお盆の会で橋本より“とにかく2〜3曲、仕上げて発表する”という予告が行われていたが、この日その予告どおり3曲の新曲が発表された。「ため息」「ただ、悲しいだけ」「ラジオ・ファズ」である。しかしこの時「ラジオ・ファズ」は英語の歌詞が付いていたらしい。またこの日橋本は“山口の脅迫めいた発言により9月中に残る3曲を片付けなければならない”とコメントを残している。

2018/09/24
この日、橋本が約束どおり残る3曲の発表を行った。インストの「五月の風の声」と「遠い昔の同じ夢」、英語詞の「もう一度、もう一回」である。尚、この時の結果報告で橋本は“とりあえずこれで一息なのだが、山口から大量の鼻歌発表をするから一曲選べ!と脅されている”と述べている。橋本としては他の三人から鼻歌で発表された、つまり3曲の新曲に彼自身が定めたテーマに沿って歌詞を付けなければならないのである。

2018/11/04
そうは言いながらも先行して発表された6曲については通例どおりボーカル割や譜割などの作業が行われていた。この日山口邸を訪れた橋本は細々した指示を出してそれらの譜割を確定している。尚、この時に“「ラジオ・ファズ Version 2」だけは好きにしてくれ、と言ってある”と言っておりいつの間にか2バージョンの録音が決定していたようである。

2019/01/04
年が代わって早々、RUGが活動を開始した。白いストラトキャスターを抱えた橋本、ヘフナーベース持参の上南、お馴染みエレアコを持った森岡が山科スタジオに集合、強力サポーターである奥井弘が見守る中「五月の風の声」を一気に録音したのである(もちろん終了後に新年会が開催されたことは言うまでもない)。いずれにしても新作にとっては大変順調な滑り出しとなった。

2019/02/03
ついに第一回の歌唱隊録音が実施される。既定の6曲「ため息」「ただ、悲しいだけ」「ラジオ・ファズ」「ラジオ・ファズ Version 2」「遠い昔の同じ夢」「もう一度、もう一回」の録音が行われた。尚、森岡の報告によると“何やらちょっと緊急事態(?)が発生したため「もう一度、もう一回」は私のボーカルのみ入った状態”とのこと。恐らく山口に急用が入るなどしたのであろうが詳細は不明。また「ラジオ・ファズ」「もう一度、もう一回」はこの時点で日本語詞に代わっていた様子。噂では各自の曲の歌詞も書かないといけないのに自作曲の作詞だけで力尽きた橋本に思いも伝えやすいのでこの際全曲日本語にしてはどうか?という提案が山口からあったことを受けてのことらしい。

2019/03/03
歌唱隊の録音を受けて第一回の演奏隊録音。「ラジオ・ファズ」2バージョンの録音が行われた。比較的与しやすい曲のため特段問題もなく完了。

2019/03/24
非常に短い期間をおいて気合いの第二回演奏隊録音。「ため息」「ただ、悲しいだけ」を片付けた。尚、この日は録音の後、森岡も加わり疎水にて花見を敢行した。しかし気温は寒く桜はほとんど咲いていなかった...。

2019/04/30
音楽活動とは全く関係ないがついに“平成”最後の日となったためメンバー+奥井で“平成最後の会”が開催された。また5月5日には久々にライター後藤雄二を迎え“令和最初の会”も開催されている。一方各自の新曲発表がこの時点でどうなっていたのかは明らかではない。だが山口はすでに複数の曲で鼻歌発表を済ませており、その中から“安易でありがちな歌1”と題された曲が橋本により選出された模様である。またまさにこの頃(聞き込みによると4/29)森岡が、5月中旬には上南がそれぞれ新曲を発表、橋本が順次歌詞をつけていったようである。

2019/06/23
この頃、山口曲は「昼下がりの時間」、森岡曲は「こころ模様」、上南曲は「摂氏18度」という歌詞が橋本により用意され下音の制作も進んでいたようである。しかしここで大きな事件が発生した。以前に上南が書いた「生まれてくる君」(作品集「Re-Born - 再生」収録)は当時生まれたタイの友人夫婦の娘チャームちゃんに捧げられたものであったが彼女は2018年6月に白血病のため亡くなってしまった(RUGは 6/9 に偲ぶ会を開催している)。それから1年、失意の夫婦に今度は男の子チル君が誕生。上南としては自分の書いた曲をどうしてもこの子に捧げたかった。だがバンドとしては各自の曲に橋本が歌詞を付ける、という方針で作業を進めており、上南の要望を受け入れると橋本の歌詞が浮いてしまうし、方針どおりに進むと上南の思いが行き場を失う... この日山口から発信されたメールによると“上南ソングはボーカル無しということなので”というコメントが見られるので一旦はインスト曲として仕上げる方向になったようである。

2019/06/29
しかし先の事件はこの日合理的な決着を見た。新作用には予定どおり橋本詞が付けられた「摂氏18度」を録音するが、別途「チル君の歌」も制作、録音しタイのご夫婦に送る2バージョン・プランである。この日開催された“上南邸でウイスキーを飲む会”で橋本は次のような素晴らしいコメントを述べている。“これで何のわだかまりもなく活動を推進できる。RUGにはジョンもポールもいない。これからも皆対等で音楽に向き合っていきたいものだ”... 尚、仮題「チル君の歌」の歌詞とアレンジは山口が担当することになった。

2019/10/05
この日、今回もまたジャケットデザインに腕を奮う奥井弘からメールが発信され新作用のジャケットデザイン案数パターンが公開された(おそらくお盆の会あたりで正式な制作依頼があったものと思われる)。以下は奥井のコメント。“5月25日に何かが壊れた。5月の風が壊したのか? 5月の稲妻が壊したのか? しかし、破壊の後には再生がある。新しい世界の花が咲く”。この後、各自(今回は特に橋本)が意見を述べジャケットデザインが確定していったのだった。

2019/10/14
この日、随分久しぶりに演奏隊による録音が行われた。実に7ヵ月ぶりに録音されたのは 「遠い昔の同じ夢」と「もう一度、もう一回」。7月の頭に山口の娘が出産、めでたく孫誕生!となったのは良いが実家は娘親子に占拠され録音が不能な状態になってしまったのが空白期間発生の理由である(RUGとしてはお盆の会、初秋の会と飲み会だけはコンスタントに実施していたが...)。これで橋本曲主体の第一段階の録音はコーラスを残して終了となる。

2019/10/20
演奏隊と張り合うように今度は歌唱隊による録音が実施された。他の3人の曲を主体とした第二段階の録音である。「昼下がりの時間」「こころ模様」「摂氏18度」そして“チル君の歌”改め「永遠に生きる」が素晴らしい森岡のボーカルにより録音された。

2019/11/23
さらにこの日番外編の録音と称して再び歌唱隊がスタジオ入り、「もう一度、もう一回」の英語バージョンの録音を実施した。「永遠に生きる」はタイで先行リリースすべく準備されており歌詞も英語で書かれている。これとカップリングすべく発表当初英語詞だった「もう一度、もう一回」に白羽の矢が立ったということらしい。

2019/11/24
その翌日には演奏隊が録音を実施、「昼下がりの時間」「こころ模様」が録音された。この日声明を発表した橋本によると“演奏隊の録音はあと2曲を残すのみである。日程としては12月22日が有力。また忘年会はホルモン焼の店“六”での開催を予定したい”とのこと。

2019/12/22
忙しない師走を迎え予定どおり演奏隊が最終の録音を行った。一時期物議を醸した上南曲「永遠に生きる」「摂氏18度」の2曲が録音され、これで年明けにコーラスを録り終えれば新作は無事完成の運びである。かくして年内の音楽活動は全て終了、忘年会は奥井、ライター後藤雄二、さらに11年ぶりにタンカこと田中聡を迎えて盛大に開催されたのであった。

2020/02/22
この日メンバー4人全員が山科スタジオに集結した。いよいよ新作のコーラス録音である。まずはタイでの先行リリースのため「永遠に生きる」とカップリングの英語版「もう一度、もう一回」を録音。さらにこの曲の日本語版、「こころ模様」「摂氏18度」の5曲を完成させた(この結果、後日タイ向け先行シングル「永遠に生きる」がリリースされた)。この日橋本は“まだ6曲残ってますね。3月に終われたら... 頑張りましょう!”とコメントしている。新作のリリースは目前、と誰もが思った... のだったが...

2020/06/07
新型コロナウイルス感染症が蔓延し始めRUGもまた自粛を余儀なくされる。この日、森岡、奥井、山口がお好み焼き屋で会食しているのが確認されたが、これが2月のコーラス録り以来の活動となった。結局この悲惨な状況はそのまま継続され、通例なら全員集合となるお盆休みも“個別面談”と称してばらばらに会合する事態に。そうこうしているうちについにブチ切れたメンバー達は一連の新作用音源を封印、コロナに対する怒りに満ちあふれた作品集の制作に着手する。すでに皆さんもご承知の「COVID-19」である。

2021/02/14
facebookページに新曲「新型コロナウイルスは終息するのか?」がアップされた。強引にリモート録音で制作された「COVID-19」はついにこの日より順次オンラインリリースとなったのである(CDのリリースは3月20日)。だが世の中はコロナの第三波で大騒ぎの状況。落ち着いたら残る6曲のコーラスを片付けて本来の新作をリリースしよう、ということが申し合わされた。

2021/05/01
しかし事態はさらに悪化し本来なら活発な活動(基本は飲み会であるが)が展開されるGWにもかかわらず緊急事態宣言で日本全体が窮屈な状態になっていた。しかしそんな中、橋本が山口邸を訪れ来たるコーラス録音に向けて自作曲のコーラス案を披露した。それに基づいて山口がコーラス入りデモを作成して配布、緊急事態宣言明けが見込まれる6月にラストスパートをかけるべく準備をすることとなる。

2021/06/20
一応緊急事態宣言は解除された(かわりにマンボウが発出されたが)ので、いよいよ残る6曲のコーラス録音が実施された。山科スタジオに集合したのは橋本、森岡のみ。呼吸器系の治療を続けている上南は“息が続かない”ことを理由に参加を断念した。しかし彼の分まで頑張るぞ!という気合いのもと、2019年1月の録音開始から2年半、ついに新作の録音が完了したのであった。

2021/06/26
通例ならこの後は山口が最終のミックスダウンを行って音源が完成、となるのだが今回は橋本の強い思いを具現化した作品集であるため、ミキシングについても橋本が最終確認を行うことになった。この日“ミキシング会議”が橋本と山口により行われた。近年ミキシング自体はPCで行われており、それをモニタしたながら橋本から詳細な指示が飛び、山口が設定を変更する、という作業の流れである。最終的に「ラジオ・ファズ」のアホ・バージョンだけが残ったが、理由は橋本より“ラジオが壊れそうな感じから壊れたーっ!となって終わるように”という無理難題が指示されたため。しかし当日夜、山口がそれに近い状態を捻り出し橋本も妥協したようで、これで音の方も完成、リリース日の検討に進むことになった。

2021/07/17
この日関係者が上南邸に集結、軽く一杯やりながら新作『525....』のお披露目会が行われた。上南曰く、当初の録音の時のことはすっかり忘れているので新鮮... しかしとにもかくにもリリース開始である。着想から3年と2ヶ月後のことであった...。

From A.Hashimoto Abount "525..." WHAT IS ? CONTENTS SINGLE RELEASE MAKING PROCESS FROM A.HASHIMOTO

本来、何らかの出来事やちょっとしたハプニングには瞬間的に反応を示す洛東UNDERGROUND(RUG)ですが、今回のアルバム、題して『525...』もその例外ではなく、私橋本のちょっと大きな出来事がテーマになっております。従来、そういったあらゆる事を題材にした曲は数々存在している訳ですが、何と今回はアルバム全体が一つの私の出来事をテーマにしている、と言うRUG史上初めての試みであります(おまけにライナーノーツまでも書くと言う事になっております)。さてさて、その大きな出来事とは? アルバムタイトルであるところの『525...』とは? かなり謎な部分だらけですが、まずはご試聴いただきたく思っている次第です。
なんのかんの言いながら素晴らしい演奏を聴かせる橋本... 自ら考案した素晴らしいアレンジに乗ってスリリングなギターを聴かせる橋本... 指の不調を感じさせない素晴らしいソロを演奏する橋本...
森岡から“凜々しい!”と声がかかった橋本の雄姿... 新作制作の最終段階としてコーラス録音に臨む橋本と森岡... 真剣な表情で最適なミキシングを考える橋本...

ご拝読、ありがとう。ではぜひ中身をお楽しみ下さい。