What is "COVID-19" for RUG ? WHAT IS ? COVID-19 TOKYO WAS DEAD ? ABENOMA** (NOT NEEDED NOW) (WE WANNA PLAY) AN INNOCENT SONG WORKERS WITH VIRUS THE MEANING OF INHERITANCE

『COVID-19』 ※ジャケットデザイン:奥井弘“COVID-19”... もちろんWHOが命名するところの“新型コロナウイルス感染症”を指す言葉である。これがあっと言う間に世界中に広まったため私たちの生活は根底から覆される事態となった。かくして洛東UNDERGROUNDもまた密にならない活動を強いられる。どうすんだ? じっとしとくか?? いや、そんな訳のわからんもんに殺られてたまるか! 当初制作を進めていた新作を一旦お蔵入りさせてまで急遽制作された2021年の新作『COVID-19』は洛東UNDERGROUND初のリモート録音作品集である。


録音より飲んでいる回数の方が多い等と揶揄される彼らだが、飲む方はやむを得ず自粛して『COVID-19』は各自がそれぞれ自宅やレンタルスタジオなどで録音した個別の音源(ボーカル、ギター、ベースetc)をインターネットで送信、それを受け取った山口がPCで編集して仕上げていった。


収録曲は6曲。いずれも“COVID-19”が絡む作品ばかりである。2019年12月に中国の武漢(Wuhan)でこのウイルスが発見されたのが事の始まり。日本では2020年1月16日に神奈川県でバスの運転手さんが感染。その人はその前の勤務で中国からの観光客を乗せて走っていた。またバスガイドを務めた女性も感染(気の毒に一度回復した、と言われたのに後に二度目の感染が確認された...)。洛東UNDERGROUNDの地元京都では1月30日、中国に里帰りして戻ってきた留学生に感染が確認...。タイトルトラック『新型コロナウイルスは終息するのか?』(COVID-19 - Is It Over ?)は3月20日に歌詞が書かれている。WHOのテドロス事務総長が“主戦場はヨーロッパに移った!”と発言したのが3月13日。日本では総理大臣がろくに会見もしない間に東京オリンピックの中止が決まり、志村けんが亡くなり... 結局、日本政府が緊急事態宣言を発出したのは4月7日であった。そして今(****)現在、未だ新型コロナウイルスは終息していない。

1.新型コロナウイルスは終息するのか? COVID-19 - Is It Over ? (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
 T.Yamaguti .... Vocals / Electric Guitar / Synthsizer / Rhythm Programming
 A.Hashimoto .... Electric Guitar (Solo)
 M.Morioka .... Backing Vocals / Acoustic Guitar
 M.Johnan .... Bass

重量感溢れるベース、流れるようなギターソロ等、ハードロック・テイストが溢れるテーマトラックである。ギターソロが入るタイミングなど全体の構成は成るべくして成った感じの仕上がりだ。ちなみにリーダーである橋本からは録音に際しボーカル担当・山口に“繰り返しと他の部分は二重人格の如く歌うように!”という恐ろしい厳命が下ったらしい(成果があったとは言いがたい結果だが...)。また通常コーラスは全員で録音するのが習わしであるが、ここまできたら徹底してリモートじゃ!ということだったのか、今回に限っては全曲森岡と山口の二人だけで録音している(厚みを出すためそれぞれダブルトラックでミキシング)。尚、この曲は繰り返しのところだけ山口が書きそれに橋本が他の部分を付け加えた、という説もあるが詳細は明らかではない。またCD版の『COVID-19』には Extra Track として歌詞とミキシングが変更された“第三波”というバージョンも収録されている。

Tokyo Was Dead ? WHAT IS ? COVID-19 TOKYO WAS DEAD ? ABENOMA** (NOT NEEDED NOW) (WE WANNA PLAY) AN INNOCENT SONG WORKERS WITH VIRUS THE MEANING OF INHERITANCE
政府がもたもたしている間に大阪府知事はいち早く独自の方針を掲げ“大阪モデル”なるものを発表した。何がどういう数字に収まっていれば現状維持、それを超えると自粛要請を解除していく、というある意味わかりやすいもの。言うことをきかないとされる大阪の人たちはこれを目安に頑張りついに感染者0の日が。そして太陽の塔と通天閣は緑色に点灯された。それをまねた?のが“東京アラート”。東京都知事はいろいろ新語を生み出したがこれもそのひとつ。しかしせっかくの努力も7月に崩壊、7月2日、東京では過去最高の200人超えとなってしまった。だがなぜベイブリッジは赤色点灯しないんだろう? そんなことがきっかけで7月12日、この曲の歌詞は書かれている。だが今となっては200人(当時東京で最多を更新した感染者数)はとても可愛い数字である...。

2.東京は死んだのか? Tokyo Was Dead ? (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
 T.Yamaguti .... Vocals / Acoustic Guitar / Strings / Rhythm Programming
 A.Hashimoto .... Electric Guitar (Bottle Neck)
 M.Morioka .... Backing Vocals / Acoustic Guitar
 M.Johnan .... Bass

橋本がこの曲を発表した時、この曲はどちらかというとストレートなロックだったらしい。しかし山口に思うところがあったのか、たまたまこうなったのかは定かではないが結果としてこの曲はアコースティックギターがチャラチャラ鳴るフォーキーな楽曲にまとめられた。しかしその結果困ったのは橋本。一体どういうギターを入れたらいいんや!!と悩み果て結局最後はボトルネックをさりげなく入れる、という作戦に出た。しかしその緩い音が大変効果的である。尚、先ほどアコースティックと書いたがこのボトルネックだけは実際にはエレキギターで演奏されている。アコースティック的な中でこの方がより広がりがでるかなと思った、と橋本。さすがのセンスが光るエピソードである。ちなみにCD版の『COVID-19』には Extra Track として橋本発表バージョンをオマージュした“ロックンロール”というバージョンも収録されている。

Abenoma** (Not Needed Now WHAT IS ? COVID-19 TOKYO WAS DEAD ? ABENOMA** (NOT NEEDED NOW) (WE WANNA PLAY) AN INNOCENT SONG WORKERS WITH VIRUS THE MEANING OF INHERITANCE
4月7日、政府より7都道府県に向けて緊急事態宣言が発出された。しかし飲食店の休業などもあくまで要請。この程度のことを決めるのになぜこんなに時間がかかるのだ? さらに審査制の予定だった30万円給付が一律10万円に急に変わったかと思えば、とかくいろいろなことで全然スピード感がない。そして5月26日に歌詞がかかれたこの曲にも歌われる意味不明な各家庭への洗えるマスク2枚の支給... 確かに一時期マスクの入手が困難だったので間違ったことではないが遅すぎる。しかもなぜか小さすぎる... 多くの人が何か変だなあ、と思ったことは間違いない。

3.アベノマ**(今さら要らんし) Abenoma** (Not Needed Now) (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
 M.Morioka .... Vocals / Harp (Solo) / Acoustic Guitar
 T.Yamaguti .... Vocals / Electric Guitar / Piano / Rhythm Programming
 A.Hashimoto .... Electric Guitar (Solo)
 M.Johnan .... Bass

「東京は死んだのか?」とは異なり橋本が水を得た魚のようにギターを弾くロックンロール・ナンバーである。ボーカル割の発表に際し橋本からダブルボーカルを言い渡された森岡・山口により掛け合い漫才?のようなボーカル録音が行われ、さらに勢い任せに効果音を入れるなどのやりたい放題... しかしドライブ感満点の上南のベースに乗って森岡によるハープのソロ、そして橋本のギターソロと展開するあたりいかにもRUG的な楽曲と言える(だいたいにおいて人を小馬鹿にしたような歌詞と演奏は彼らの得意技?)。尚、敢えてタイトルを*で伏字にしなくても何の歌か分かろうというものだが当事者の総理が退陣した(またも投げ出しか?という声も出たが)ことに配慮したという噂である。尚、CD版の『COVID-19』には Extra Track として出来るだけ生の音を楽しんでもらおうというミキシングが施された“ネイキッド”というバージョンも収録されている。

(We Wanna Play) An Innocent Song WHAT IS ? COVID-19 TOKYO WAS DEAD ? ABENOMA** (NOT NEEDED NOW) (WE WANNA PLAY) AN INNOCENT SONG WORKERS WITH VIRUS THE MEANING OF INHERITANCE
4月16日、7都府県に発出されていた緊急事態宣言は全国に拡大された。マスク着用に手洗い・うがいは当たり前。さらに不要不急の外出は控えよ、皆で密になって宴会するな云々。しかしどこに潜んでいるのか解らないややこしいものが相手である。これはやむを得ないと思う。そんな状況下でRUGの面々も還暦を迎える年齢である上に自身基礎疾患を持つものや高齢の両親を抱えるものもいる。2月にコーラス録音を実施して以降、彼らもまた自粛の日々を送ったのである(彼らがリアルで再会したのは6月に入ってから。それも全員集合ではなかった)。だがストレスは溜まる一方である。かくしてこの歌詞が書かれた。“だからこそ僕らは無邪気な歌を演奏したい。ヘイ、頼むよ。君はギターを弾いてくれ。僕は歌うよ。僕らは無邪気な歌を演奏したいんだ”... 結局後に二度目の緊急事態宣言が発令されるなど身動きがとれなくなったRUGは自棄気味でリモート録音に取り組むことになったのだった。

4.無邪気な歌を (We Wanna Play) An Innocent Song (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
 M.Morioka .... Vocals / Acoustic Guitar
 A.Hashimoto .... Electric Guitar (Solo)
 M.Johnan .... Bass
 T.Yamaguti .... Backing Vocals / Electric Guitar / Piano / Strings / Rhythm Programming

7月11日に歌詞が書かれたバラード・ナンバー。特に森岡の素晴らしいボーカル/コーラス・ワークが光る。そして何より、やっぱり皆で集まって音楽をやりたい... そういう思いが凝縮した楽曲である。

Workers With Virus WHAT IS ? COVID-19 TOKYO WAS DEAD ? ABENOMA** (NOT NEEDED NOW) (WE WANNA PLAY) AN INNOCENT SONG WORKERS WITH VIRUS THE MEANING OF INHERITANCE
このロクでもないコロナ禍は多方面に悪影響を与えた。飲食店の人達は最悪の状態に陥ったし、旅行会社や交通機関もドツボ。そしてもちろんほとんどの労働者達がその影響を被った。特に営業系ワーカーズからは、テレワークせー! 感染したら困るから用事なかったら来ないでくれー! 会議はオンラインじゃ! でも売上はあげろー! ... どないせーっちゅうんじゃー!!!という悲痛な叫びがあがった。かくして5月24日にこの歌詞が書かれRUGの定番テーマ“ワーカーズ”がウイルスと対峙することに。“外出控えはやめろ! 運動不足を解消せよ! 密になって集まれ、コミュニケーションの復元だ! ウイルスに殺される前にこの状態で死んでしまう。殺られてたまるか、俺たちはウイルスと共存するワーカーズ!”... 専門家会議の人達が聞いたら卒倒しそうな内容だが、上司の無茶振りにも耐え、鉄道や飛行機が止まってしまっても次の目的地へ移動するワーカーズはコロナ禍においても必死で生きているのだ。これはそんなワーカーズへの応援歌でもある。

5.ウイルスとワーカーズ Workers With Virus (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
 M.Morioka .... Vocals / Acoustic Guitar
 A.Hashimoto .... Electric Guitar (Solo)
 M.Johnan .... Bass
 T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Organ / Rhythm Programming

橋本入魂のソングライティングとギタープレイが堪能できる一曲である。そして孤高のワーカーズの世界を歌い上げるのはもちろん森岡。“ワーカーズ”はRUGの大きなテーマとなっているが、そんなワーカーズに難敵登場。コロナウイルスである。まさにそんな熾烈な戦いが音になったようなパワフルな楽曲である。特に終盤の展開は聴き応えがある。

WHAT IS ? COVID-19 TOKYO WAS DEAD ? ABENOMA** (NOT NEEDED NOW) (WE WANNA PLAY) AN INNOCENT SONG WORKERS WITH VIRUS THE MEANING OF INHERITANCE
2020年8月28日、新型コロナウイルスの第二波に国民が苦しむ中、総理大臣が突然退任を発表した。以前にも一度、持病の潰瘍性大腸炎が悪化してほとんど投げ出しのように退任したことがあったが最近とんと姿を見せず国民に対してもなんら説明をしない状態だったため“何それ??”という声が噴出したのもやむをえまい。その後は自民党の内輪の選挙が行われ新しい総理大臣が決定し新内閣が発足した(2020年9月16日)。新しい総理曰く、前総理のやり方を継承するのだという。最初の調査では発足時の支持率は74%、歴代3位の数字である。やることやってくれたらそれはそれで構わない、と思いつつ何か他人事のような物言い、相変わらず国民に説明しない姿勢に疑問を感じていた。2021年1月7日、約3ヵ月半経過した現在、支持率は41.3%(不支持率 42.8%)、4割の人が支持しない理由に“首相に指導力がない”を挙げている。“仮定のことには答えられない”とかいいながら自分が熱心なGoToには明確な答えをする... この国は本当に大丈夫なのだろうか? そして新型コロナウイルスは本当に終息するのだろうか??

6.継承の意味 The Meaning Of Inheritance (Music By A.Hashimoto and T.Yamaguti)
 A.Hashimoto .... Acoustic Guitar (Melody)
 M.Morioka .... Acoustic Guitar
 M.Johnan .... Bass
 T.Yamaguti .... Acoustic and Electric Guitar / Strings / Rhythm Programming

当初『COVID-19』はボーカル曲5曲でまとめる予定だった。しかし何か変だなあ、と思っていたら総理大臣が突然辞意表明。素直にご苦労様と言えないところがロクでもない。かくして茶番のような内輪の選挙を経て新総理大臣が誕生。前総理のやり方を継承する、と聴いた時の一抹の不安がこのインスト曲を生み出したのかもしれない。尚、この曲でも山口がテーマメロディを策定、それを生かして橋本がひとつの曲に仕上げていった、という情報があるが真相は不明。いずれにしてもこのどうしようもないウイルスと感染症がどうにかなってくれることを願ってやまない。

ご拝読、ありがとう。では中身の方もお楽しみ下さい。