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『支離滅裂』 ※ジャケットデザイン:奥井弘“こんな世の中どないもならん! リセットしてやり直しじゃー!”という明確なメッセージをロック・サウンドに乗せてみせた前作から1年。積み重ねてきた作品集もついに復帰後第10作目を数えることとなった。ひとつの節目を迎えた洛東UNDERGROUNDが提示して見せた新作はなんと『支離滅裂』だった?

レゲエ、カントリー、ビッグバンド・ジャズ、モダンロック、スカにミュジーク・コンクレート風の作品、さらにフランス語で歌う曲からベンチャーズ・サウンド、ヒップポップ... 気まぐれ風を吹かせて様々なジャンルの楽曲を好き勝手に演奏してみせたかのような不思議な作品集。だが文字通り“支離滅裂”な中に一貫した主張が潜んでいるように思える。それは一言で言えば“音楽への情熱”であろうか?

前作よりベーシスト・上南雅博を正式メンバーに迎え4人編成となった洛東UNDERGROUNDが聴かせる変幻自在の演奏は間違いなくさらにレベルアップ。そしてお馴染みになったデザイナー奥井弘によるジャケットデザインも各楽曲とリンクする14枚の絵をパッチワークのように組み合わせるという凝った内容。そのタイトルとは裏腹にこれは記念すべき10作目に相応しい作品集である。


シングル『流れ星』

前作「RESET!」の企画段階で実はだいたいの内容が決まっていたという『支離滅裂』。しかし同時リリースのシングル「流れ星」は例の如くアルバムとは別バージョンである上に、別に日本語バージョンも収録。またさらに『支離滅裂』録音中に急死した非公式メンバー?の犬のジュ〜ンに捧げた歌も収録されておりファンにとってはマスト・アイテムとなっている。

まるで“今度のが復帰10作目? ほんまかいな。知らんかった!”という声が聞こえてきそうな“支離滅裂”な作品集。だがここに収められた楽曲には“確信”が満ちている。是非記念すべき作品集『支離滅裂』を心ゆくまでお楽しみいただきたいと思う。






Contents Of "Thrown Into Confusion" WHAT IS ? CONTENTS SINGLE RELEASE MAKING PROCESS IMAGES

まずは収録曲、簡単な曲目紹介を行う。

1.ホテル・ネバーランド Hotel Neverland (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Strings / Rhythm Programming

2007年に森岡が移り住んだ豪邸の名前にちなんで書かれた楽曲だと言う。イントロは(隠し味にしては露骨に)イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」をモチーフに使っており曲はそのままレゲエ・ビートで展開する。しかしあのハードロッカーである上南がかなり本格的なレゲエのベースを弾いているのに驚かされる一方、そんなバッキングに構わず橋本が2本のギターの多重録音で特徴的なソロを演奏するなど聴き所の多い一曲。

2.信じられない、夢みたい Unbelievin' And Dreamin' (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Acoustic Guitar / Brass Section / Banjo Section / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Harp (Solo) / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

これはRUGが得意とするカントリー・ソング。のっけから軽快なハーモニーが飛び出し楽しい雰囲気が横溢する。しかし随所にマイナーなメロディを混ぜ込むあたりはさすが天才ライター橋本の匠の技か。森岡のハープも味わい深く、最後はどんどんテンポアップしながらフェイドアウト。ちなみにこの曲は“こんなことあり得ないけどあったらいいなあ〜”という事について歌っている。

3.オールド・タイプ・ワン Old Type One (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Brass Section / Rhythm Programming

作品集「ミート・ザ・リザルト!」で似非ジャズにチャレンジした彼らだが今度は同じジャズでもビッグバンドに挑戦。デューク・エリントンの「A列車で行こう」をモチーフにスイング感満点のブラスに乗って森岡が軽快なボーカルを聴かせる。橋本のギター、上南のベースが雰囲気を盛り上げる中、ダメ押しは見事なダバダバ・コーラス。テクノロジーの勝利と言えばそれまでだがまさに“支離滅裂”な一曲である。

4.愛の告白 Confession De L'amour (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Acoustic Guitar / Electric Piano / Strings / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Acoustic Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

何を血迷ったか山口が怪しげなフランス語で歌うシャンソンというよりフレンチポップ風の楽曲が登場。そのボーカルを聴いた橋本が“ブライアン・フェリーのようである”と評したのは誉めすぎという意見もあろうが印象深いという点は事実であろう。一方その曲調は近年彼らが得意とするボサノバタッチでまとめられているがそんな中でも橋本のアコースティック・ギターによるソロプレイは特に見事である。

5.平和の波を我らに We've Got A Peace Wave (Words By T.Yamaguti and M,Morioka / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Strings / Rhythm Programming

多彩な曲が並ぶ『支離滅裂』においてもこの曲は白眉である。メンバー達ですら明確なカテゴライズが出来ていない、強いて言えばモダンロックに分類される不思議な楽曲だがその演奏は異様なパワーを秘めている。尚、この曲は1996年、東京流刑中の山口が書いた歌詞が元になっている橋本が呼ぶところの“復刻シリーズ”の一曲。ただし当時の歌詞は東電ではなく動燃、金正恩ではなくシラク(仏大統領)だったらしいがここでは森岡が歌詞を書き換えて歌っている。

6.ハウスキーパー Housekeeper (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Organ / Brass Section / Rhythm Programming
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass

強烈なスカビートで展開されるナンバー。「支離滅裂」の制作途中に家族が次々と病気に倒れたため主夫にならざるをえなくなった橋本のことを歌った歌詞が用意されており、山口・森岡の畳みかけるようなダブルボーカルで歌詞の内容どおり?忙しなく歌われる。またここでも上南がそれらしいベースを弾いておりすっかりRUGの感化を受けていることが伺える。

7.明日なき世界 Nothing Tomorrow (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Organ / Rhythm Programming / Sound Effects
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

たった二つのコードだけで書かれたシンプルなナンバー。ギター片手にたらたら歌うイメージの曲だがビートルズの「トゥモロウ・ネバー・ノウズ」の影響?を受け森岡の笑い声を筆頭とした雑多な音に著名な政治家の演説まで織り込んだミュジーク・コンクレート風の仕上がりとなった。ほとんど意味不明な作品だが“我々は明日なき世界に生き明日なき世界で死ぬだろう”という閉塞感だけは伝わってくる。

8.上海下町物語 Shanghai Downtown Story (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Acoustic Guitar / Piano / Chinese Section / Rhythm Programming

冒頭に銅鑼が鳴り中華風のメロディが挿入されるがその実体は全編に渡って森岡のボーカルが冴え渡る典型的なRUGポップナンバー。録音に際して森岡は4回に渡りボーカルを多重録音したとされるがその成果は見事に表れている。曲の方は旅行で上海を訪問した橋本が自らの体験を書き記したもの。アコースティック・ギターとピアノを基調とした爽やかなバッキングの影で多重録音された橋本のギターが聴ける等凝った作りとなっている。

9.北の記憶 Norhtern Recollections (Words By T.Yamaguti / Music By M.Johnan)
T.Yamaguti .... Vocal / Acoustic and Electric Guitar / Piano / Synthsizer / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

近年演奏だけでなく曲作りでも貢献している上南がまた新しい曲を書き上げた。AOR風の非常に垢抜けたサウンドに独特のメロディラインが乗っている佳曲。尚、ギター・ソロのところで大きく変化するが、このアレンジは山口がデモを作成する時に間違った状態をそのまま再現している。また歌詞の方も山口が担当しているが上南が見た“金正日がトランクを持ってくれて空港からホテルまで案内してくれた”という不思議な夢をモチーフにしているらしい。

10.モルグ街の殺人 The Murder In The Rue Morgue (Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Electric Gut Guitar (Melody)
A.Hashimoto .... Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Electric Guitar / Organ / Rhythm Programming

ボーカルが入らないインスト曲。ベンチャーズ風のギターサウンドがモチーフだが森岡によるエレガット・ギターの音色が全編に流れる。多少たどたどしいところがあってもしっかりとメロディを伝えるその演奏は非常に好感が持てて、上南が少し重めのベースを弾いていても気にならない? 尚、何が殺人事件?という話については山口がベンチャーズのヒット曲「10番街の殺人」からの連想であまりに有名なポーの推理小説のタイトルを拝借したとのこと。

11.TNTS T.N.T.S. (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Organ / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Johnan .... Bass

橋本と上南が活躍する基本的にはアメリカン・ロックのフォーマットに則ったナンバー。当初は前作「RESET!」への収録も検討されていたときけば納得できる。しかしチアリーダーの掛け声のようなタイトルの連呼、さらに後半は多重録音された元気づけるようなコーラスが入るのがユニーク。それもそのはず「TNTS」とは“定年退職”を意味し、これは会社がその都合だけで定めた不合理な人事システムにめげそうになっているワーカーズ(労働者達)への力強い応援歌である。

12.B会社 B-Company (Words By T.Yamaguti / Music By M.Morioka)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Organ / Rhythm Programming

またしても進化した堅田サウンドの登場。今回はヒップポップなトラックにハードロック・サウンドを乗せた上に森岡がラッピングを聴かせる、という大胆な企画。バックでひたすらタイトルを連呼するコーラスもユニーク。ちなみに“B会社”とは“明日からどこそこに転勤してくれるか?”と当たり前のように言われ拒否できない労使協定などあってないような会社を指すようである。

13.流れ星 Shooting Star (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Organ / Rhythm Programming

橋本が単独で書いたブルース・ロック・ナンバー。しかしどこか“和”を感じさせる哀愁漂う素晴らしい作品である。上南のハードなベースラインが骨格となり橋本のギターが唸りをあげて縦横無尽に駆けめぐる。森岡のボーカルも味わい深く重厚なコーラスも聴き応えがある。当初は完成度の高い「ホテル・ネバーランド」のシングルカットが予定されていたが、それを差し置いてこの曲が選ばれたのが必然と言える完成度の高い楽曲だ。

14.誰も知らない No One Knows (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Strings / Rhythm Programming

オーケストレーションも美しいバラード作品。しかしこれはTVのドキュメンタリー番組で撤去しきれず放置された地雷で命を落とす子供達のことを知った橋本が衝動的に書き上げたもの。その内容の悲惨さとは裏腹に力強いギター・ソロを聴くことができる。かくして今回の新作は最後まで“支離滅裂”なまま幕を閉じるのであった。

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作品集「支離滅裂」リリースと同時にシングル「流れ星」もリリースされた。以降にこちらの簡単な紹介も。

1.流れ星 Shooting Star (Single Version)  (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Organ / Rhythm Programming

例によって例のごとくアルバムバージョンとは異なるテイクである。主な違いは橋本のギターがアルバムのものとは異なる、ドラムセットが別のものにすり替えられている、終わりがフェイドアウトではなくカットアウトである等。また決定的な違いはシングル用に若干短く編集されていることであるが、そういった違いがあってもこの曲の素晴らしさはなんら損なわれていない。

2.流れ星(日本語版) Shooting Star (Japanese)  (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Organ / Rhythm Programming

実はこの曲は元は日本語の歌詞が用意されていた。それを入手した山口の画策で森岡が橋本に内緒で録音したのがこの日本語バージョンだという。アルバムバージョンを基本トラックとしてボーカルだけを入れ替えている。英語版でも感じられた“和”の香りが鮮明に感じられ印象深い。尚、ミキシングにあたっては森岡の希望で“寺尾聡”風にするべく、ボーカルの処理を特殊なエフェクトを加えた上で疑似ダブルトラック化を行っている

3.誰も知らない(バージョン2) No One Knows (Version 2)  (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Acoustic Guitar / Rhythm Programming

アルバムバージョンはピアノと流麗なオーケストレーションが使用されていたが、それをアコースティック・ギターに置き換えたのがこのバージョン。その結果ロック色の濃い仕上がりとなっている。ただしこれは番外編で山口が遊び半分に制作したものがそのまま採用されている。

4.名犬ジュ〜ン June  (Words and Music By T.Yamaguti
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Johnan .... Bass
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Harpsichod (Solo) / Synthsizer / Rhythm Programming

10月1日、山口家の飼い犬であったジュ〜ンが亡くなった。だが彼は作品集「ワーカーズ」にクレジットされたり、作品集「ミート・ザ・リザルト」のジャケットに登場するなどRUGの活動に寄与している。かくしてRUGが総力をあげて制作した追悼ソングがこの曲。適度にポップでジュ〜ンが元気に走り回っている様が思い浮かぶ仕上がりである。ジュ〜ンの魂よ、永遠なれ。

Making Process Of "Thrown Into Confusion" WHAT IS ? CONTENTS SINGLE RELEASE MAKING PROCESS IMAGES

再結成10作目となる『支離滅裂』誕生の軌跡について。

2011/03/12
大震災の翌日、全員が顔を揃え新作のための新曲発表大会が開かれた。表向きは前作「RESET!」のための新曲発表となっていたが、すでに次期作品集は『支離滅裂』ということが決定していてこの日はそのための新曲もまとめて発表された。

2012/01/21
上南邸に他の3人が押し掛け『支離滅裂』の録音に向けての協議が行われた。まだ「RESET!」の録音が進行している段階だったが通称演奏隊はすでにお役ご免になっており早めに次の手を打っておこう、ということのようである。すでに発表されている楽曲(噂では20曲以上ある模様)から12曲の採用とたちまち録音を行う4曲の選出が行われた。

2012/03/11
橋本が山口邸を訪ね新作『支離滅裂』の譜割についての指示を授ける。またこの日は東日本大震災から1年が経過していたがそれとは全く関係ない“319”という単語がRUG内で飛び交っていた。

2012/03/19
噂の“319”は森岡の副業先(ここが「B会社」のモデルだとされている)が異動を内示する日であった。当事者の森岡から“本部へ帰ることになった(木之本ではなかった。期待に添えず申し訳ない。へっへっへ)”というメールが送信された。前作「RESET!」は森岡のスケジュール調整が一番厄介だったとされており、これは今後の活動において朗報と言える。

2012/04/14
ついに今シーズンの活動の火ぶたが切って落とされ歌唱隊(森岡、山口)による第一回録音がリーダーである橋本の立ち会いの元実施された。

2012/05/19
いよいよ演奏隊(橋本、上南)が始動、第一回の録音を実施。上南は久々に元々使っていたジャズベースを持ち込み熱演を繰り広げたが、橋本の方はマスク姿で前途多難な雰囲気を感じさせた。しかし録音はスムーズに進み、さらに上南が新曲(北の記憶)を発表するなど充実した一日となった。

2012/05/27
昨年は上南がベースに多くの資金を注ぎ込んだ年であったが、今年は各自がそれぞれに機材の充実に努めた年であった。この日は公式サイトに山口が購入したギターアンプ Fender MUSTANG II の写真がアップされた。尚、従来使用してきた YAMAHA のギターアンプはかなり長い時間電気を通しておなかいとリバーブが異常に利いた変な音しか出ない状態でついに退場になったとのこと。

2012/06/09
演奏隊(橋本、上南)第二回録音を実施。この日橋本は元気そうだったが、上南は風邪から回復したばかりだった(噂では橋本の凶悪な風邪がうつったらしい)。

2012/06/23
歌唱隊(森岡、山口)が第二回の録音を行う。1日でかなりの曲数を一気にこなした。

2012/07/14
機材充実シリーズ第二弾は上南がアンペグのベースアンプを購入。今後の録音にはヘッド部分のみ持ち込む!と心意気を語った。

2012/07/28
演奏隊(橋本、上南)第三回録音。予告どおり上南はアンペグのヘッドを持ち込みハードな演奏を聴かせたが、橋本の方は何かと物入り(家人に病人続出、副業先の事務所が引っ越し etc)で“もはや、お祓いじゃ!”と嘆く始末。しかし録音の方は比較的ロックな曲ばかりだったのでスムーズに進んだ。

2012/08/25
お盆の会も終わったところでコーラス隊(森岡、橋本、山口)が集まり第一回録音を敢行。これで「ホテル・ネバーランド」「流れ星」など数曲が完成となった。春先の予想どおり今年は森岡のスケジュールがまだ組みやすいので録音自体はかなり順調に進んでいる。

2012/09/01
演奏隊(橋本、上南)第四回録音。この日は上南が通称“ゴーン・ウエスト”(=腰がイッてしまった)状態で難航が予想されたが、なんとか所定の課題はクリアした。

2012/09/15
ちょっとストレスが溜まってきた!ということで突然飲み会が開催される。ここでは橋本より“判取り帳紛失事件”について報告が行われた。非常に大切な帳面なのだが警察に駆け込んでもどんなものか、何が大切なのか分かってもらえず未だに発見もされていない、とのこと。

2012/09/30
歌唱隊(森岡、山口)第三回録音。歌唱隊とはいうもののこの日は機材充実シリーズ第三弾として森岡が“エレガット”(エレクトリック・ガット・ギター)を持ち込み「モルグ街の殺人」の録音も実施された。かなりハードな録音だったが録音機材の充実により後で山口により編集された結果、かなり素晴らしい仕上がりとなった。

2012/10/01
この日RUGの非公式メンバーでもあった山口家の飼い犬、ジュ〜ンが亡くなった。人間年齢で13歳。合掌。

2012/10/07
演奏隊(橋本、上南)第五回の録音にチャレンジ。上南の腰は回復したようだが今度は五十肩との噂。また橋本の苦境は相変わらずで“ほんま支離滅裂やー”とぼやくことしきりであった。

2012/10/27
勢いにのって演奏隊(橋本、上南)が第六回の録音に挑む。この日の録音はいつになくスムーズに進んだ(ロック調の曲が主体だったから、という噂)。またこの時点では先頃亡くなったジュ〜ンに捧げる歌も録音することが決定していた。

2012/11/17
この日恒例行事である紅葉の会が開催されたが、それに先立ち森岡が山口邸に立ち寄りジュ〜ンの歌のボーカルを録音。

2012/12/1
早くも12月になり一気に追い込みをかける計画に基づいてこの日演奏隊最終録音の予定だったがフェイントがかかる(橋本の叔母さんが亡くなった)。

2012/12/8
コーラス隊(森岡、橋本、山口)第二回にして最終録音を実施。全8曲+ハープ・ソロを録音。また橋本には内緒で森岡が「流れ星」の日本語バージョンも録音した。尚、本来12/1に演奏隊の録音が終わっているべき3曲もエレキギターとベースがない状態のままコーラス録りを行った。

2012/12/9
仕切り直しで演奏隊(橋本、上南)最終録音。残っていた3曲をやっつけついに新作『支離滅裂』は完成。尚、12/23にモニター会を行うことが申し合わされた。

Images For "Thrown Into Confusion" By H.Okui WHAT IS ? CONTENTS SINGLE RELEASE MAKING PROCESS IMAGES

今回のジャケットデザインについては“1曲ごとにお題を出すので合計14枚の絵を描いてほしい!”という面倒極まりないお願いをした。ここではその要望を受けて作成されたイラストについてデザイナー奥井弘自身に語ってもらう。

◆ホテル・ネバーランド
ホテル・ネバーランドお題は“レゲエ/びわ湖畔”... ジャマイカの女の子と琵琶湖の組み合わせです。女の子の髪のウエーブが琵琶湖の波となり、琵琶湖の岸の美しい葦のこすれ合う音が風とともにリズムを作り出す。音楽の原点とは、もともとそのような自然のリズムの中に、人が音楽を作り出すヒントがあったように思います。

◆信じられない、夢みたい
信じられない、夢みたいお題は“カントリー/夢”... カントリーと言えば、やっぱりジョンデンバーの「カントリーロード」かな? 高校から続く友情の象徴のカントリーロードは疎水(万歩)につきます。いつまでも、みんなで疎水でのバーベキューや鍋が続くことがRUGの「夢」かな?

◆オールド・タイプ・ワン
オールド・タイプ・ワンお題は“ビッグバンド/ナイトクラブ”... ビートルズは「キャバーン・クラブ」で腕を磨いたように、ライブは観客だけでなく演奏者も刺激を受けるかな? 音楽を目指すものには、ライブは修行の場のように思います。

◆愛の告白
愛の告白お題は“シャンソン/告白”... 自由の国フランスの告白は、天に届くのか?

◆平和の波を我らに
平和の波を我らにお題は“モダンロック/原発”... ∞は無限を表わし、原発はそのように考えられていたが、どうもそのようではないようで? モダンロックのはなつ音楽は∞に人の心に広がるのか?

◆ハウスキーパー
ハウスキーパーお題は“スカ/主夫”... スカというと、東京スカパラダイスしか思いつかなかったんですが、管弦楽器が主役のようで、いつでも前向き「今日を楽しく生きようぜ」みたいな感じかな? 主夫もそうであればいいよね。

◆明日なき世界
明日なき世界お題は“ミュジーク・コンクレート/空虚な明日”... コンクレートは、楽器以外の自然の音や人工の騒音を採取し、加工・構成したフランスで始まった音楽分野らしいが、フランスの国鳥・鶏はどんな声で鳴くのかな? 日本では「コケコッコー」フランス人の頭を通すと「コックェリコ」、機械を通さなくても人の頭で加工・構成され直す。ブロイラーは自然なのか人工なのか、鳥小屋のなかで、何を思い生きているのかね?

◆上海下町物語
上海下町物語お題は“中華風/上海”... 子供の頃、うちのラーメンの丼の縁の絵柄が、この紋様でした。中華風と言うと、この紋様がまず思い浮かびます。たぶん、多くの人が見ている紋様だとも思います。上海には行った事がないのですが、イメージとして近代化された高層ビルが立ち並ぶような映像が浮かびます。今回は、この紋様をモチーフに高層ビルを表現してみました。

◆北の記憶
北の記憶お題は“AOR/記憶”... 山口君の家へ初めて行ったときに、いろいろなレコードを聞かせてもらいました。最初に聞いたレコードは、かすかな記憶ではウイングスの「JET」だったような気がします。思い込みかもしれませんが? どちらにしても、最初のレコードに針が落されたときから山口君との付き合いが始まったような気がします。レコードのレーベルですが、AORはよくわからなかったので、山口君に推薦してもらった「ドゥービーブラザース」にしています。

◆モルグ街の殺人
モルグ街の殺人お題は“エレキサウンド/密室殺人”... 密室の扉の向こうでは、異端児の処分が話し合われている。これは処刑なのか殺人なのか? ベースギターが悲しきリズムを刻みます。

◆TNTS
TNTSお題は“アメリカンロック/定年退職”... 高校を卒業し第一ステージは終わり、第二ステージが始まった。第二ステージはまだまだ先まであるが、いずれ第二ステージも定年退職で終わる。しかし、終わりは始まりであり、アメリカンロックバンドは七色の光に包まれ第三ステージが始まる。

◆B会社
B会社お題は“ヒップポップ/組織”... 音楽とダンスは「卵が先か鶏が先か」と同じようにどちらが先に生まれたのかね? どちらにしても、同じ思考回路と感性と肉体によって生まれ、芸術という情欲の組織の中で創造されるのだと思います。

◆流れ星
流れ星お題は“ブルース・ロック/流れ星”... ブルースブラザースはブルースロックなのかな? よくわかってないけど、イメージはそちらになってしまいます。四つの星は願いを込めて、同じ方向に流れていきます。

◆誰も知らない
誰も知らないお題は“オーケストラ/地雷原”... ジャジャジャジャーン!!!!!! 爆発は指揮者のタクトの一振りから始まる。地雷原の広がりは、オーケストラの配置を表しています。

ご拝読、ありがとう。では中身の方もお楽しみ下さい。